看護記録の書き方の基本原則
看護記録の書き方の基本原則とは、
- 客観的な記載を心がけること。
- 正しい日本語、英語を使用すること。
- 正確な実施時間を記載すること。
- 真正性の確保をすること。
- 記載基準を遵守した様式、記号、略語を使用すること。
- 必要な情報のみを記載すること。
などがあります。
客観的な記載をこころがける
- @ 個人的感情表現の記載を避けます。
- たとえば、患者さんを責めたり、他の職員を批判したり、反省を促すような文章はよくありません。
・悪い例
「当直医●●に診察を依頼したが、いつまでたってもきてくれない。」
・良い例
「21:00 当直医●●に診察を依頼。救急患者診察中とのこと。22:30 診察」
・悪い例
「食事は30分以上かけて食べるように説明したにも関わらず守れない」
・良い例
「毎食、食前に食事は30分以上かけて摂取するように説明。15分で食事終了」
- A 想像、憶測、個人的見解の記載は避けます。
- たとえば「〜のように見える」や「〜のように思われる」と言う表現は避け、具体的に事象を記載します。
・悪い例
「表情が暗く落ち込んでいるように見える」
・良い例
「うつむき、看護師と視線をあわせない。質問にも答えない。」
- B 根拠のない断定的表現は避ける。
- 根拠のない断定的表現は避け、そのときの状況を具体的に記載します。
・悪い例
「反応が鈍い」
・良い例
「呼びかけに反応なし。再度の呼びかけにゆっくり顔を向けるが、話しかけても反応なし。」
- C 患者さんの性格や態度を表す言葉は避けます
- 患者さんの言動や事実を記載します。
患者さんが話した言葉は「 」で囲んで区別がつくように記載します。
・悪い例
不機嫌
・良い例
「気分が悪い」とベッドに向かってコップを投げつける。
正しい日本語、英語を使用する
誤字、脱字に注意し、造語や自己流の略語は使わず、
誰が読んでも理解することができるように記載します。
×「R苦」 → 〇「呼吸苦」
×「無R」 → 〇「無呼吸」
×「Baカテ」 → 〇「膀胱留置カテーテル」
×「Fa」 → 〇「家族」
正確な実施時間を記載する
- @ 看護を実施した時間や処置・内服・点滴などの実施時間について、
- 他の医療者の記録との整合性が問われます。
ですから、正確な記載が求められます。
- A 業務開始時に、基準となる時間に自分の時計の時刻を合わせておきます。
- 表記の基本は24時間です。
- B 計器類の時刻も確認します。
- C 記載すべきケアの前後(ケアの開始時と終了時)には、時計を見る習慣をつけます。
- ×「PM3:00」 → 〇「15:00」
×「深夜勤務帯」 → 〇「20:00〜23:00(というように、正確な時間を記載する)」
真正性の確保をする
@ 必ず担当した看護師が署名します。
署名は、「看護師 〇〇」というように記載します。
A 記録を終えるごとに日付・時間・署名を記載します。
B 訂正は、訂正前の字句が読めるように二本線で消し、
訂正日・時刻を記入し、訂正者の署名をします。
C 改ざんとみなされるため、修正液は使用せず、誤記部分も塗りつぶしません。
D 間違った箇所を削除することや加筆・修正は改ざんとみなされます。
E 行間や余白は残さず「以下余白」、「以下〇行余白」と記載します。
記載基準を遵守した様式、記号、略語を使用する
看護記録の構成要素ごとに規定された書式・様式に基づき、
記号や略語も各施設で作成している「診療記録に使用する略語集」に沿って使用します。
「!」や「?」「☆」「…」などは使用しないようにします。
必要な情報のみを記載する
プライバシーに関する事項は、必要な場合のみ、
事実確認のもと、患者さん・患者さんの家族に了承を得た後に記載します。
プライバシーに関する事項とは、
面会制限、氏名表示、家族背景、家庭環境、生育歴、経済状況、
社会的身分、宗教、信条などです。
- プライバシーに関する事項の記載例
- 2011年12月22日
10:00 氏名の非表示、及び面会制限について要望あり。
医療者間で情報共有の必要があるため、記録に残すことの了承を得る。
理由は、家族以外の人に入院したことを知られたくないとのこと。
面会者は同居家族のみ。看護師 〇〇