看護記録の書き方のキホン

不適切な表現になりがちな項目/人権に関わる表現

人種・本籍地・職業・家族状況・経済状況・社会的身分・宗教・信条に関する表現をする際、
人権や人格の侵害が発生するおそれがあるので注意が必要です。

 

患者さんの状態や正確に関して、否定的な表現をした場合も、
人権にかかわることになります。

人権・人格を侵害する表現

たとえば、「父が熱心な〇〇教の信者である。」と言う情報を得たとします。

 

この場合、入院生活に直接影響しない患者さん個人の宗教的・信条的な情報は、
基本的には記載しません。
ですが、看護記録に記載する必要がある場合は、下記のように記載します。

 

『宗教上の理由により輸血を拒否。』

 

宗教上の理由によって輸血を拒否している宗教団体に属する患者さんについては、
具体的な宗派を記載せず、このように記載します。

 

また、宗教上の理由による生活習慣で、
入院生活に影響を与えるような「食事」や「祈り」などの場合は、
下記のように具体的な制限方法を記載します。

 

『宗教上の理由により、〇〇は摂取できず。』

その他の不適切な表現になりがちな項目/人権・人格を侵害する表現例

×「タバコを没収」→ 〇「退院まで(一時的に)タバコを看護室で預かる。

 

「没収」とは、刑法や行政法で用いられる用語で、「取り上げること」と言う意味です。
病院で患者さんが喫煙していた場合は、
安全な環境提供の観点から「退院まで一時的に預かる」ということを行うため、
その意味が伝わるように記載します。

 

×「何度言ってもわからない」→ 〇「午前中の食事指導の直後に間食をしているため、再度「間食しない」ことを説明。しかし、午後の家族の面会時、家族と一緒にお菓子を食べていた。」

 

一方的に患者さんや患者さんの家族が理解していないとする表現の仕方は、
人格を否定した記載になります。
具体的な介護の介入方法や回数を記載し、
どのような内容を指導したのかを明記。
その上で、そのことに対する患者さんや家族の反応を記載します。

 

×「苦情が多い」→ 〇「要望が多い」

 

×「医師とトラブルなし」→ 〇「医師と穏やかに話していた」

 

「トラブル」とは、「厄介なこと、もめごと、いざこざ」を意味するときの表現です。
医療者は患者さんや患者さんの家族の発言を苦情として受け取るのではなく、
要望として、ニーズとして受け止める姿勢が必要です。