看護記録の書き方のキホン

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看護記録の書き方の実例 CVカテーテル挿入後の気胸

事例: 患者名 W氏 52歳 男性

 

疾患名: 胃がん

 

家族構成: 妻と二人暮らし

 

経過: 〇月〇日ころから腹部のもたれ感を感じていたが、胃の荒れと思い市販の胃腸薬を服用していた。
症状が改善せず、食欲も低下し、倦怠感が続いていたが、 
会社も休めないため胃薬を飲みながら勤務していた。
体重減少著しく、妻に病院へ行くよう進められ近くの医院を受診。
採血と内視鏡検査を施行した結果、当院へ入院となる。

 

 

インシデント発生状況:
〇月〇日、食事が一回に2割しか摂取できず、低栄養のため
中心静脈栄養目的でCVカテーテルを挿入する。
11時にCVカテーテルを挿入。
その後、カテーテルを仮固定して医師よりカテーテルの位置確認のための胸部X線検査の指示が出る。
検査室が込んでいるため、一時間後になるということだった。
30分後、W氏よりナースコールがあり、「少し息苦しい」と訴えがある。
A医師に報告、放射線科に連絡し、ポータブルでX線撮影を依頼。
その結果、気胸を併発していることが判明した。

悪い記載例

〇月〇日
11:00 CVカテーテルを挿入する。

 

11:45 ナースコールあり。
息苦しさあり。医師へ報告。
X線撮影の結果、気胸となっている。

 

12:00 脱気して様子観察する。

修正が必要な場所

@ CVカテーテルの挿入目的も記載します。

 

A 施術中、施術直後の患者の呼吸状態やバイタルサイン、挿入部位周辺の異常の有無を記載します。

 

B カテーテルのサイズ・長さ・挿入部位を記載します。

 

C 「息苦しさあり」は、患者さんの言葉、表現で記載します。

 

D 医師に報告した内容、医師が判断した内容、何を挿入して脱気したのかを記載します。

良い記載例

〇月〇日
11:00〜11:15 中心静脈栄養施行目的により処置室でA医師がシングルルーメンのCVカテーテルを
右鎖骨下静脈から12cm挿入します。
仮固定実施、胸部X線撮影の指示あり。

 

BP140/86mmHg、P90/分、R25/分、刺入部痛なし。出血なし。
呼吸苦なし。両肺音聴取できる。左右差なし。
放射線科にX線依頼すると1時間後の撮影になるとのこと。
 看護師〇〇

 

〇月〇日
11:30 呼吸苦なし。肺エア入り左右差なし。
刺入部痛なし。出血なし。呼吸苦なし。

 

〇月〇日
11:45 「少し息が苦しい」と訴えあり。
右肺雑音ないが、エア入りが弱い。
BP128/85mmHg、P90/分、R28/分。チアノーゼなし。
A医師に報告する。
 看護師〇〇

 

〇月〇日
11:50 放射線科に連絡し、状況を説明し、X線撮影室へ。
 看護師〇〇

 

〇月〇日
12:00 X線撮影の結果、右の気胸あり。
A医師よりW氏に説明し「分りました。よろしくお願いします。」と話され、
胸腔ドレーン(ハイムリッヒバルブ)を挿入することになる。
 看護師〇〇

記載上の注意点

CVカテーテルは、処置の中でも機械的合併症の発症率が高く、
動脈穿刺、血腫、気胸を含めると約10%は合併症が発生するといわれています。
そのため、CVカテーテル挿入後は、注意深い観察が求められています。

 

また、CVカテーテルを挿入する場合は、
事前にCVカテーテル挿入に関する説明を十分に行い、
同意の確認を行うことが必要です。

 

X線検査で合併症が無いか確認できるまでは観察を行い、
記録に残します。

 

医師から患者さんへの説明内容は、医師が記録するので看護師は記載しません。
看護師は、患者さんの言葉や反応を記載します。