看護記録の書き方のキホン

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看護記録の書き方の実例 ストーマのセルフケア指導

事例: 患者名 A氏 80歳 女性

 

疾患名: 直腸がん

 

家族構成: 一人暮らし。長女家族が遠方に住んでいる。

 

経過: 2年前から便に血液が付着することがあり、時々下痢になることがあった。
医療機関は受診せず、様子を見ていた。
3ヶ月前から排便時に肛門周囲に疼痛が出現したため、近医を受診。
直腸がんの疑いがあると診断され、当院へは精密検査・治療目的にて入院。

 

患者の状況:
手術・ストーマ増設については、A氏と長女に外来受診時から説明されており、
入院時からA氏は「手術を頑張って長生きするわ。」と話していた。
手術前に主治医からの疾患・術式などの説明ののち、
ストーマオリエンテーションを行う。

悪い記載例

# 知識不足(ストーマ)
S: 何となくは知っているよ、大丈夫。

 

O: 直腸切断術、ストーマ造設術施行となる。
本人・家族にビデオを見ていただく。
ビデオ鑑賞後に、理解度を確認すると苦笑しながら上記発言あり。

 

A: 本人は大丈夫と言っているが、ストーマに対して不安な表情が見られる時がある。
高齢であり、ストーマ造設後しっかりとした受け入れができるように関わっていく必要がある。

 

P: 計画立案

修正が必要な場所

@ 患者さんの訴えはこれだけだったかも知れませんが、
看護師がもう少し掘り下げて聞いてみることにより、
もっと自分の言葉が出たかもしれません。

 

A 指導中の患者さんや、患者さんの家族の反応をしっかり観察し、
ビデオを見ているときに、どのような反応を示したのか記述します。

 

B ストーマオリエンテーションとしてどのような指導を行ったのか、
理解度をどのように確認したのか、具体的に記載します。

 

C 家族のかかわり方、どの程度介入できる予定かを記載します。

 

D 「不安な表情」とは、看護師の主観ですから、客観的に記載します。
具体的な顔の表情、しぐさ、声の調子などの情報を記載します。

 

E ストーマに対する不安が全て解決するはずもありませんが、
今後のケアの方向性についても記載します。

 

F 本人にとっての目標はどこなのか、長女の協力体制などもアセスメントが必要です。

 

G 高齢であることが、指導とどのようにかかわるのか、アセスメントが不足しています。

 

H 「計画立案」だけでは、どのようなケアを行っていくのか方向性が不明です。

良い記載例

# 知識不足(ストーマ)

 

S: 何となくは知っているよ。大丈夫。
家ではお風呂で交換したほうがいいんですかね。
一人暮らしだけど、できるようにならないと退院できないのですか。

 

O: ストーマ造設予定のため、ストーマオリエンテーションを行う。
ストーマパンフレットとビデオを本人と長女に見てもらいながら説明する。
実際の装具交換場面になると、画面を凝視している。
装具交換方法、入浴方法などを実際の道具を見てもらいながら説明する。
説明時、長女と風呂場の大きさなどを確認している。
説明後、ストーマパンフレットを読んでいる。

 

長女に装具交換についてどの程度の介入が可能か確認すると、
長女は働いており、装具交換を手伝いたいとは考えているが、
頻繁に通うことは難しいと話す。

 

A: ストーマオリエンテーションを実施後、
患者から具体的な質問が出ている。
「大丈夫」という発言も聞かれているが、セルフケア方法を覚えていくこと、
自宅において一人で装具交換などのケアを行うことへの不安を感じている。
80歳代という高齢ではあるが、
洋裁をするなど手先は器用であり、パンフレットを何回も見るなど、
ケアに対して関心をもっている。
セルフケア指導は、ストーマに対する受容の程度を観察しながら段階的に行い、
自宅での交換方法がイメージできるように行っていく必要がある。
徐々にできることを増やし、自信が持てるように関わっていく。

 

P: 患者が受け入れやすいように、段階的にストーマセルフケア指導を進めていく。
患者・家族と一緒に計画を立案する。

 

 看護師〇〇

記載上の注意点

患者さんへの生活指導は、看護師の重要な役割の一つです。
継続した看護の提供においても、
どのように指導を行ったのかを看護記録に詳細に残すことは
とても重要です。
患者さんの目標をどこに設定するのか、
対応する看護師が変わっても統一した看護が提供できるよう
周知していく必要があります。