徐々に発病したり、急性期から移行して一ヶ月たっても軽快せず、
長期間に渡って症状が継続する疾患の総称を「慢性疾患」といいます。
慢性疾患の代表的な疾患は、高血圧、慢性呼吸不全、糖尿病、関節リウマチ、
慢性腎不全、神経疾患、慢性胃炎、慢性肝炎など色々あります。
慢性疾患は、経過が緩慢なので患者さん本人が疾患について無頓着である事も多くあります。
そのため、受容にも時間がかかり、重症化する事もあります。
慢性疾患は生活習慣を改善することによって安定した状態を維持することができ、
長命することができる場合も多くあります。
ですが、それだけ在宅での長期介護が必要になります。
社会的な経済的にも影響を受けやすい慢性疾患の患者さんに対してのサポートは、
家族に対するサポートも同時に必要です。
慢性疾患の在宅看護のポイント
慢性疾患は、心身のみならず、社会的にも経済的にも影響を受けやすいので、
家族の理解が重要です。
慢性疾患は、経過が長期で一生涯に渡って根気良く
疾患の治療と症状のコントロールを行う必要があることを
患者さん本人だけでなく、家族にも理解してもらうことが大切です。
慢性疾患の療養は、栄養・運動・休養・禁煙などの生活習慣を改善することが鍵となります。
ですが、生活習慣を変えることには困難が伴う人が多いため、
患者さの性格や家族関係、社会的立場を考慮しながら、
根気良く本人の意識を高める援助を行うことも看護師の役割です。
慢性疾患は、主治医や家族、友人の援助は欠かすことができませんし、
家庭内のトラブルにまで発展する事もあります。
看護師が、家族の思いを受け止め、根気良く家族ぐるみで取り組むことができるように
援助することが大切です。
慢性疾患の患者さんに対する生活指導の進め方
慢性疾患に罹患した患者さんにとって、
療養の鍵となるのは、栄養や運動、休養、禁煙など生活習慣の改善です。
そして、日常的に自己管理を行うことが重要です。
看護師は、患者さんの自己管理を援助するために患者さんの心理状態を理解し、
患者教育を実施することが大切です。
- ① 患者さんとの信頼関係を構築する
- 慢性疾患の患者さんとの関わりは長期になります。
ですが、患者さんがこれまで選択してきた生活習慣を変更することを求めることになります。
ですから、患者さんの健康の回復や、健康の維持、健康の増進のために、
訪問看護の看護師は患者さんから専門職として信頼されることが必要です。
在宅看護が必要な慢性疾患患者さんは、
健康上の問題が明確化していることが多くあり、
期待される生活行動やメディカルデータと現状に大きなずれがあります。
このズレを正すために、問題の背景となる生活習慣や価値観を受け止めること、
その上で理解する姿勢が求められます。
まず、患者さんとの信頼関係を構築する初期の段階では、
患者さんの価値観や生活習慣を否定することは避けたほうが無難です。 - ② 患者さんのセルフケア能力
- 慢性疾患の患者さんの在宅療養では、
日常生活の些細なことでも注意を払うことが必要です。
患者さんは、介護者や看護師に依存するばかりでは十分な治療をすることができません。
患者さん自身が、自分自身のために積極的に行動をし、
セルフケアをすることが必要です。
セルフケア能力は、様々な要因に影響され、
患者さんそれぞれにセルフケア能力に差があることを理解する必要があります。
そして看護師は、患者さんのセルフケア能力のレベルを十分に考慮し、
看護計画を立てなければなりません。
セルフケア能力に影響する要因- 個人の要因
- 年齢、性別、発達状態(段階)、健康状態、
生活状況(教育、職業、職歴、健康観、宗教や信念、信条、家族の中での位置と役割、家族の経済)、
生活パターン - 環境の要因
- 住宅環境、家族関係、地域社会環境、職場環境、利用可能な社会資源
- 能力の側面
- 感覚や知覚、新しい情報の学習と獲得、内省・推論する力、情報への感心の程度、
意味の理解力、コミュニケーション能力、意思決定する力、
セルフケアのニーズの理解力とセルフケアへの意欲
- ③ 到達目標の設定
- 患者さんのセルフケア能力や家族のサポート力、
地域の文化や価値観などが在宅看護を受ける慢性疾患患者さんの生活に影響します。
ですから、治療として期待される到達目標と
患者さんが実行できる到達目標の設定をすることが必要です。
生活行動の変容には、制約感や負担感を伴う場合が多くあります。
達成できたことが次の課題への動機付けとなるような目標を設定するようにすることが望ましく、
患者さんと十分に協議しながら目標を設定していくことが必要です。 - ④ 指導内容の選定
- 訪問看護の看護師が、慢性疾患患者さんへの指導をする内容は、
緊急性が高いものを覗いて、患者さん自身が実行することができるものから開始していきます。
一般的には、理解や実行において難易度が低いものから徐々に高いものへと進めていきます。 - ⑤ 指導方法の選定
- 訪問看護の看護師が、慢性疾患患者さんへの指導をする方法は、
患者さんの学習スタイルに合う方法を選択していくことが必要です。
患者さんが今までの学習場面での考え方や感じ方を情報として得たうえで、
その患者さんにあった方法を選択していきます。
そして、この指導方法を、在宅ケアチームのメンバーにも伝え、
チームメンバーで効果的な方法を共有するとよりスムーズです。 - ⑥ 実施
- 生活指導の実施は、実施計画に従って実施し、
その内容を記録して定期的に評価を行います。
慢性疾患の患者さんには、長期的に指導が必要なので、
評価を次の計画に活かし実施することが重要です。

コメント