通常は、患者さん本人が自己管理できていても、
病状が悪化したときなど意識レベルが低下してしまい、
SMBGや注射が困難になってしまう可能性があります。
インスリン療法を自宅で行う場合には、
確実に行うことができる介護者を患者さんのほかに2名教育することを目標とします。
退院前に、訪問看護導入の依頼があったときには、
インスリン療法についての教育が具体的に行われているかどうかなど、
患者さんや家族の知識、技術のレベルを把握することが大切です。
事前に病棟を訪問し、患者さんや家族とのコミュニケーションをとったり、
実際に注射している場面を見せてもらうと、
不足している知識や技術を再教育することができます。
インスリン療法の在宅でのケアと支援
インスリン療法では、インスリン注射の指導だけではなく、
食事療法や運動療法など、
糖尿病の治療を包括的に含めた指導が重要です。
食事療法
訪問看護指示書に指示されている一日のエネルギー摂取量に従って
食事療法を行います。
エネルギー量だけでなく、
栄養バランスの良い献立になるように、
食品交換表を指導に利用するとよいでしょう。
食事療法を守ることでストレスを感じる患者さんも多くいます。
ですから、3食のうちの一食を好物の献立にしたり、
間食80kcalを設定するなど工夫します。
食事量がコントロールできないときや、
短期間での体重増加がみられるときは、
患者さんと介護者とが一緒に栄養指導を受けると良いでしょう。
栄養士と連携し、個別性の高い食事指導ができるように心がけましょう。
運動療法
運動療法は、血糖降下作用と糖代謝の改善、動脈硬化の予防に効果を発揮します。
合併症があったり、ADLが低下している患者さんもいるので、
主治医と相談し、患者さんに適した運動療法を決定していくようにします。
運動療法を行う時間は、目安として最低でも食後30分とします。
早朝や夜間の運動は、低血糖の恐れがあるので避けます。
一回に15~20分程の運動を継続して行うように指導します。
運動後、脈拍が120回/分(10秒に17~20回)となっていると、
望ましい運動負荷と言えます。
運動中に、患者さんが「体がやや楽である」と感じ、
汗ばむ程度を目安にすることもできます。
運動に適した服装で、砂糖を必ず携帯して運動を行うように指導します。
訪問看護をしたとき、運動療法を患者さんと一緒におこない、
運動方法や運動量の確認を行うようにします。
体調が優れないときには、運動を休むように指導します。
運動は、家族や介護者と一緒に行うことができると、
患者さんの気持ちの負担になりません。
家族や介護者と共に楽しく継続できるようなプログラムを考える事も必要です。
糖尿病合併症
糖尿病は、合併症による障害を生じます。
そして、その合併症が生活に支障をきたす事もあります。
合併症には、網膜症や神経障害、動脈硬化などがあります。
- 糖尿病網膜症
- 進行していても視力低下がおきないことがあります。
定期的な眼科受診が必要です。
視力低下がある場合の問題点は、SMBGとインスリン注射が困難になってくることです。
視力低下がある場合は、家族や介護者へのインスリン注射の指導が重要です。
著しく生活に支障をきたす視力障害の場合は、
障害者手帳を取得し、福祉サービスの利用を勧めていきます。 - 糖尿病性神経障害
- 糖尿病性神経障害は、多発性、単一性、自律性などがあります。
多発性神経障害の場合は、足底部の痺れ、痛み、冷感、こむら返りなどの症状があります。
単一性神経障害は、複肢、四肢の麻痺、筋萎縮などの症状があります。
自律性神経障害では、無自覚性低血糖、発汗異常、起立性低血圧、便秘、下痢、
弛緩性膀胱、勃起障害、食道・胃の蠕動低下による悪心・嘔吐、無痛性心筋梗塞などの症状があります。
正しい血糖コントロールの継続と、早期受診を患者さんに指導し、援助します。
糖尿病性神経障害の治療は、
薬物療法や、温寒療法・フットケア・軽い運動などの対症療法です。
抑うつ、不安が強くなることがあるので、精神的な援助が必要です。 - 糖尿病性腎症
- 早期では自覚症状がありません。
しかし、糖尿病罹患歴5年以上で出現する可能性が高いので、
早期受診、検査を促す必要があります。
糖尿病性腎症には、血糖コントロールが重要です。
糖尿病性腎症と判断された場合は、腎管理(血圧、体重、むくみ)、
糖尿病食から腎臓病食への変更、塩分制限、カリウム制限、運動制限が必要になります。
患者さんにストレスがたまってしまい、
過食になる事もあるので、精神的な支えも必要です。

コメント