気管支喘息の薬物治療
気管支喘息の治療は、
呼吸機能を正常な状態にすることと、
患者さんのQOLを回復し、その維持を目指すことを目的とします。
気管支喘息の薬物療法
気管支喘息の治療は、薬物療法が中心です。
小児気管支喘息の薬物量法では、
ロイコトリエン受容体拮抗薬、β2刺激薬、
アドレナリン、テオフィリンの気管支拡張薬と共に、
吸入ステロイド薬を用います。
これらの薬剤の効果には、
鎮咳薬(ちんがい)、去痰薬(きょたん)、
気管支拡張薬などがあります。
そして、最近一ヶ月間ほどの期間をみて、
喘息症状の程度や頻度によって治療ステップを判定していきます。
すでに長期管理薬を使用している患者さんの場合は、
現在の治療ステップを考慮し、判定していきます。
症状が良い状態にコントロールされている場合は、
治療薬の量をステップダウンすることもできます。
小児の場合、長期に渡って治療薬を使用する場合は、
年齢による区分を設け、
2歳未満、2〜5歳、6〜15歳の各期において
適切な薬剤を投与します。
小児気管支喘息の長期管理に関する薬物療法プラン
2〜5歳の小児気管支喘息の長期管理に関する
薬物療法プランを見てみましょう。
・治療ステップ1(間欠型)
基本治療: 発作の強度に応じた薬物療法
追加治療: ロイコトリエン受容体拮抗薬、DSCG
*DSCG:クロモグリク酸ナトリウム
・治療ステップ2(軽症持続型)
基本治療: ロイコトリエン受容体拮抗薬、DSCG、吸入ステロイド薬(低用量)
・治療ステップ3(中等症持続型)
基本治療: 吸入ステロイド薬(中用量)
追加治療: トイコトリエン受容体拮抗薬、
長時間作用性β2刺激薬の追加或いはSFCへの変更、
テオフィリン徐放製剤(考慮)
*SFC:サルメテロールキシナホ酸塩・フルチカゾンプロビオン酸エステル配合剤
・治療ステップ4(重症持続型)
基本治療: 吸入ステロイド薬(高用量)
以下の併用も可能
・ロイコトリエン受容体拮抗薬
・テオフィリン徐放製剤
・長時間作用性β2刺激薬の併用あるいはSFCへの変更
追加治療: 以下を考慮
・吸入ステロイド薬のさらなる増量或いは高用量SFC
・経口ステロイド薬
*各吸入ステロイド薬の用量対比
FP(フルチカゾン)、DPD(ベクロメタゾン)、CIC(シクレソニド)
低用量:〜100μg/日 中用量:〜200μg/日 高用量:〜400μg/日
BUD(ブデソニド)
低用量:〜200μg/日 中用量:〜400μg/日 高用量:〜800μg/日
BIS(ブデソニド吸入懸濁液)
低用量:〜250μg/日 中用量:〜500μg/日 高用量:〜1000μg/日
気管支喘息の薬物療法では、ステップで治療を行っていきます。
また、以下のような注意点もあります。
・長時間作用性β2刺激薬は、症状がコントロールされたら
中止するというのが基本です。
・長時間作用性β2刺激薬ドライパウダー定量吸入器
(DPI:dry powder inhaier)の適応は、
自力吸入ができる5歳以上です。
・SFCへの変更に関しては、その他の長時間作用性β2刺激薬は中止します。
・SFCと吸入ステロイド薬の併用は可能ですが、
吸入ステロイド薬の総量は、各ステップの吸入ステロイド薬の指定範囲内とします。
・SFCの適応は、5歳以上です。
・治療ステップ3の治療でコントロール困難な場合は、
小児の喘息治療に精通した医師の下での治療が望ましいといわれています。
個人病院の場合などでは、症状の重い患者さんを大病院へ紹介することもあります。
・治療ステップ4の追加治療として、さらに高用量の吸入ステロイド薬やSFC、
経口ステロイド薬の隔日投与、長期入院療法などが考慮されます。
しかし、この場合は、小児の喘息治療に精通した医師の指導管理を
より必要とします。
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