スピッツに入れる血液が足りなくなる失敗
血液量が採れなかった場合、複数のスピッツに分けて入れる最中に
血液量が不足しないようにしなければなりません。
事前に検査項目と各スピッツの必要量を把握し、
患者さんにとって必要な検査の優先順位を理解しておくことが必要です。
抗凝固剤入りスピッツは、血液と抗凝固剤との比率が決まっています。
ですから、スピッツに必要なラインがある場合は
必ずラインまで血液を満たすなど適量を厳守しなければなりません。
必要量の決まっているスピッツを後回しにすると、血液が不足してしまうこともあります。
翼状針の場合は、スピッツに到達するまでのルート部分に血液が残っています。
特に不足しないように注意します。
主なスピッツの内容と必要量
採血量は施設によって異なる場合もありますが、一般的には以下の通りです。
・血清分離用採血管(生化学): 採血量は3〜5ml
血清分離用採血管(生化学)は、酵素検査・電気質検査・脂質検査などで使用します。
全ての診断の判断基準になるので、どのような場合でも採血します。
入院時の必須検査である感染症も、この血清分離用採血管(生化学)から調べます。
・抗凝固剤(クエン酸Na)入り採血管(凝固) : 採血量は1.8ml
血を固める働きの低下が疑われる場合、抗凝固剤を内服している、手術が想定されている、
DIC(播種性血管内凝固症候群)のリスクが高い重症な場合などに、凝固検査を行います。
・抗凝固剤(EDTA)入り採血管(血算) : 採血量は2ml
抗凝固剤(EDTA)入り採血管(血算)は、血液一般検査や血球数算定検査に使われます。
殆ど、どのようなときにも採血します。
・抗凝固剤(フッ化Na)入り採血管(血糖) : 採血量は2ml
意識障害では、まず低血糖発作の除外が必要なので、
必ず抗凝固剤(フッ化Na)入り採血管(血糖)で血糖値を調べます。
針を刺入下直後の血液には、微量の組織液が含まれています。
組織液が混入すると凝固の原因になるので、真空管採血の場合は最初に、
凝固しても影響の少ない生化学(血清)を採血し、
シリンジを使って分注する場合は、凝固する前に素早く抗凝固剤と混和する必要があるので、
抗凝固剤入りスピッツから先に分けて入れます。
採血管の順番
採血管の順番やキャップの色は、施設によって異なることがありますが、
一般的には、以下の通りです。
・真空管採血の場合
@血清分離用採血管(生化学) : キャップ茶
A抗凝固剤(クエン酸Na)入り採血管(凝固) : キャップ黒
B抗凝固剤(EDTA)入り採血管(血算) : キャップ紫
C抗凝固剤(フッ化Na)入り採血管(血糖) : キャップ灰色
Dその他の検査
シリンジ採血の場合
@抗凝固剤(クエン酸Na)入り採血管(凝固) : キャップ黒
A抗凝固剤(EDTA)入り採血管(血算) : キャップ紫
B血清分離用採血管(生化学) : キャップ茶
Cその他の検査
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