皮膚障害の中で最も出現する限度が高い症状は、皮膚の乾燥症です。
特に、もともと乾燥肌の人や、化粧水や乳液などを使用したことがない男性は、
副作用による乾燥がより顕著に現れることが多いので、
治療前から保湿剤や軟膏の使用状況、患者さんの生活環境や、
スキンケアの知識、方法を聴取し、今後のスキンケアに関する指導に結び付けます。
皮膚障害の予防と対処
(1) 今までの洗浄方法を見直す
治療計画が立ったら、使用する石けんや保湿剤の説明をし、
実際の洗浄方法を指導します。
基本的には、弱酸性石けんを使います。
弱酸性で泡洗浄をし、保湿剤をしっかりと塗ります。
日本人は全身を洗う場合、あかすりのように強くこすって洗ってしまいがちです。
ですが、その洗い方では、抗がん剤や放射線治療の影響で脆弱化した皮膚には刺激が強すぎ、
皮膚をさらに傷めてしまうことになり、皮膚障害を悪化させてしまいます。
皮膚を洗う時には、タオルやスポンジなどを使わず、
石けんをしっかりと泡立てて、その泡で皮膚を包み込むように優しく洗うだけで、
十分な洗浄効果が得られます。
ベビー石けんは、皮膚に優しいといわれていますが、
中にはアルカリ度の高いものもあるので注意しなければなりません。
(2) 洗浄後は全身を保湿する
皮膚が乾燥した状態で治療を始めるとさらに乾燥がひどくなります。
ですから保湿することは必須です。
入浴後、5~10分以内に保湿剤を使って全身を保湿します。
保湿する習慣のない男性や高齢の患者さんの場合は特に、
皮膚がベタつくのを嫌がる人も多いです。
ですが、保湿剤はベタつきのない、無香料なものをすすめます。
尿素配合のものは傷があると痛みを感じることがあるので、
セキューラMLなどの保湿剤や、
安価で保護効果の高いプロペト(白色ワセリン)などが用いられることが多いです。
* 白色ワセリンは、少し粘性があります。
化粧水を使用する場合は、刺激の少ないものを選ぶことが大切です。
ノンアルコールのものを選ぶようにします。
(3) 角質は治療前に除去
腎がんなどのがん化学療法に使用される抗がん剤「ネクサパール」などは、
副作用で、足の角質が剥がれてしまうことがあります。
足裏の角質が厚い人は、治療計画が立った時点で、
あらかじめ尿素クリームやヤスリなどを使い、角質を除去したり、
軟らかくしておくと副作用が少なく済みます。
(4) 放射線照射後の熱感のケア
放射線治療を行うと、放射線の照射部位には、
日焼けをしたときと同じような炎症が生じ、熱感が起こります。
このような症状には、アイシングが効果的です。
手のひらサイズの保冷剤をハンカチで巻き、
照射部位を冷やすことによって灼熱感が緩和されます。
照射部位の保湿もとても大切です。
照射直後と入浴後、就寝前には保湿剤をしっかりと塗り、
照射後の皮膚の痛みや灼熱感には「紫雲膏」という漢方薬(軟膏剤)に効果があります。
「紫雲膏」には、血流増加作用があるので、
創傷治癒を早めることができるといわれています。
また、放射線療法での皮膚障害には、晩期障害という症状もあります。
晩期障害では、照射後年単位で症状が出現します。

コメント