抗がん剤による悪心や嘔吐では、症状が出現してから対策を生じるのではなく、
「吐かない」様に予防を行う事が大切です。
ですから、治療の前から催吐性リスクに沿った予防的な制吐薬の使用をしていきます。
特に、初回の治療で制吐薬の使い方が適切でなく、悪心や嘔吐の症状がうまくコントロールできないと、
患者さんは治療に対して「またあのようなつらいおもいをしなければならない」と不安になってしまいますし、
治療に対して後ろ向きな気持ちになってしまいます。
辛い思いをした経験が予期性悪心・嘔吐につながる可能性があるので、
初回の治療から制吐薬を適切に使ってコントロールすることが必要です。
予防策を取った上で、さらに悪心や嘔吐の症状が出現する場合は、
異なる作用を持つ制吐薬、ドパミン受容体拮抗薬(ナウゼリン)などの追加投与をおこないます。
追加投与は、内服薬、点滴、坐薬など、投与経路の工夫も考えながら、
患者さんの状況に応じておこないます。
催吐性リスクが低い抗がん剤を使用した場合でも、
患者さんから「気持ちが悪い」と訴えがある場合は、
制吐薬の使用や追加を考えていく必要があります。
悪心・嘔吐は制吐薬でコントロールできることを患者さんに伝える
がん化学療法は繰り返して行う治療で、継続的に行う治療です。
患者さんには、抗がん剤で起きる悪心・嘔吐の症状は、
制吐薬の使用でコントロールすること、症状は必ず良くなることを伝えます。
治療前には、悪心・嘔吐の症状がでる時期や持続する期間、
症状がでた場合の対策についてのオリエンテーションを行い、
制吐薬の効果や効果の持続期間、一日何回使用することができるのか、
何日間使用を続けるのか、悪心・嘔吐を予防する食事や休息など生活上の工夫を、
具体的に情報提供していきます。
このような必要な情報をきちんと患者さんに伝えることで、
患者さんの不安を軽減させることができ、
予期性悪心・嘔吐の予防をすることもできます。
療養環境を整備
物音や視覚的な刺激などをふくめ、患者さんのストレスの原因になるものはなるべく避けます。
そして、患者さんには、「安心で静か、快適な環境」を提供できるように調整します。
食べ物や排泄物、医薬品、普段の生活の中では気にならないものであっても、
わずかな臭いや、混在した臭気に悪心・嘔吐が誘発される患者さんもいます。
病室内では、においがこもらないように、換気に注意し、
他の患者さんの食事や処置中には別室で過ごせるような工夫をしたり、
窓際にベッドを移動する、散歩にでるなど外気に触れるなども良い方法です。
また、活性炭入りのマスクを使用したり、
好きな音楽を聴いたり、テレビや雑誌を見るなど、気持ちを他に向けるようにすることで症状が緩和されます。
呼吸法やイメージ療法、瞑想、気功、ヨガなどのリラクゼーションを取り入れたり、
身体に負担の過からない程度の運動をするなど、
患者さんが快適と思うことができるような環境に身を置くことでも症状緩和が期待できます。

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