(1) 食事の工夫
食事は、少量ずつ回数を分けて食べられる時に食べられるものを食べるように工夫します。
味覚や嗜好には個人差があります。
ですから、「この食品がよい」というような決定的なものはありません。
患者さんが、喉越しがよく食感がよいと感じられるものを選ぶようにします。
できれば水分をこまめにとるようにしながら、少量ずつ回数を分けて食べるようにします。
一般的には脂っこいものよりもさっぱりしたものが好まれます。
また、温かいものよりも冷たいもののほうが悪心を催すことは少ないようです。
香辛料やカフェインなど刺激のある食品は避けるようにし、
食事の前には冷水で口腔内をゆすぐようにします。
冷水で口腔内をすすぐと、爽快感が得られ、悪心を和らげることができます。
悪心や嘔吐が出現する期間は、味覚や好みが変わることがあります。
無理に栄養のあるものを食べる、たくさん食べるなどせず、
食べたい時に、食べられるものを少し食べれば良いということを伝えることで、
患者さんは安心することができます。
・緊急対応が必要な場合
悪心や嘔吐で食事や水分が摂取できないときには受診をしてもらようにします。
制吐薬を使用しても、悪心や嘔吐が強く、
食事だけでなく水分も24時間近く全く摂れないというようなときは、受診が必要です。
また、嘔吐物に血液が混入した場合、尿量の減少やめまい、
口渇など脱水症状がみられるときには緊急の受診が必要なことを
患者さん本人や家族に伝えます。
(2) 在宅での制吐薬の使い方
自宅で制吐薬を使うときには、悪心を我慢せず、嘔吐する前に使うように伝えます。
在宅では、自分自身で症状をみながら対処していくことが必要です。
嘔吐することによって、消化管の粘膜を刺激したり、
嘔吐物の臭いでますます嘔吐しやすくなるというような悪循環を招きます。
患者さんには、定時薬として処方された制吐薬を決められたとおりに使用することを伝え、
その上で突発的に起こる悪心や嘔吐が出現した場合は、
悪心の兆しがあった時点で、頓服として制吐薬を追加して使用するように指導します。
制吐薬は、患者さんに適した剤形の確認も必要ですし、
使うタイミングを指導するほかにも、一日何回使うことが出来るのか、
効果の出現時間、持続時間など、必要な情報を伝え、
患者さん自身で対処してもらえるように指導します。
(3) 衣服や体位の工夫
腹部を締め付けない楽な服装で過ごすように工夫します。
悪心があるときには、胸や胃を締め付けない体位や衣服を選ぶことが大切です。
下着やパジャマなどは皮膚に優しく、
ゴムなどが締め付けないゆったりしたものを着るようにします。
食後は、すぐに臥床すると食べ物が逆流しやすくなりますし、
嘔吐舌場合、誤嚥性肺炎のリスクが高くなってしまいます。
ですから、食後30分は腹部を圧迫しない低度に軽くベッドアップしたり、
リクライニングチェアなどを利用して安楽な姿勢を保つようにします。
悪心や嘔吐で食事の支度が辛い時
患者さんが主婦の場合、悪心や嘔吐で食事の支度が辛いのではないだろか?と看護師として心配してしまいます。
そして、そのような時には、家族に代わってもらうようアドバイスをしたほうが良いのだろうか?と思ったりします。
食事の支度や家事をするのは、悪心や嘔吐の症状が辛い時には大変です。
患者さんが、がん化学療法を継続できるように、患者さん本人だけでなく
家族にも必要な情報を提供し、協力を求めることはとても大切です。
ですが、患者さんの中には、家事が自分の役割と捉え、
それが治療へのモチベーションになっている人もいます。
その人らしさや家族の中での役割を失うことなく治療を続けることができるよう、
どのような生活調整が必要か、一緒に考えていくようにします。
宅配サービスや冷凍食品、レトルト食品を取り入れるなどの工夫や情報を提供し、
食事の支度が簡単に済むようにするのも一つの方法です。

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