がん化学療養による口腔トラブルを完全に予防することは難しいのですが、
口腔内を清潔に保つことによって発生時期を遅らせたり、症状を軽くすることが可能です。
そのため、治療前から正しい口腔ケアの知識をつけ、
セルフケア能力を高めてもらうように指導します。
また、治療の開始前には、歯科による治療を済ませておく事も必要です。
口腔ケアの基本は、「清潔保持」と「保湿」です。
具体的には、「歯磨をすること」と「うがいをすること」で、
特別なことではありません。
ですが、清潔保持と保湿の重要性を患者さんに理解しておいて貰う必要があります。
患者さんがケアを行う際、例えば歯を磨く時などには、
自分自身でも観察をしながら行うように促します。
鏡を使って、きちんと磨けているかどうか、
口の中の状態はどうかなどを見ながらケアをし、
口内炎ができやすい唇の裏側や頬の粘膜、舌の側面などをチェックするように指導します。
もし、口内炎ができていたら大きさや痛み、出血の有無などについてもチェックするように伝えます。
口内炎に対する治療は、抗炎症作用含嗽薬であるアズノールうがい液や、
局所に塗布する口腔粘膜様ステロイドであるデキサルチン、
強い痛みの場合は症状に応じて歯科用局所麻酔薬であるキシロカインや
鎮痛薬であるボルタレンなども使用します。
口の中がざらざらする程度の軽い症状では、
水や白湯、生理食塩水で2~3時間ごとにうがいをし、
ヒリヒリするような痛みが出てきたら鎮痛薬や局所的な治療薬を使用するようにします。
口腔乾燥には、こまめにうがいをすること、保湿剤を使用することで対処します。
口腔乾燥の予防には、こまめなうがいがとても効果的なので、
治療中には1時間に1回のうがいをしてもらい、
加湿器によって室内を保湿すること、マスクの着用をすることなどによって
口腔乾燥を防ぐようにします。
口腔乾燥がひどい場合は、口腔内のジェル状保湿剤であるオーラルバランスや、
保湿スプレーを使用します。
開口障害のある患者さんには、スプレーが適しています。
医療用ごま油を指や綿棒で口腔内に塗ったり、
口角や口唇のひび割れには、白色ワセリンなどを使用して対処します。
唾液の分泌を誘発するためには、アメやガムを食べる事も効果的です。
寝たきりの患者さんには、捧付きのアメを舐めてもらったり、
舌や唇、頬を動かして、顎下腺や耳下腺をマッサージして刺激するなどして
唾液の分泌を促します。
口腔ケアの指導をしようと思ったら虫歯を見つけた場合
患者さんに、口腔ケアの指導をしようと思ったら、虫歯を見つけたというようなことがよくあります。
がんの治療前には、歯科治療を済ませておくことがとても大切です。
虫歯や歯肉炎、歯周病などの歯性感染症がある患者さんは、
口腔ケアだけでは感染リスクを軽減することが困難です。
がん化学療法や放射線療法、手術などの治療前に歯科を受診してもらい、
歯の治療やクリーニング、フッ素の塗布などを行うことによって、
口内炎の二次感染を予防することができます。
最近は、がん治療において、歯科との連携による
「オーラルマネジメント(口腔機能管理)」が取り入れられるようになっています。
そして、2012年4月の診療報酬改訂では「周術期口腔機能管理料」が新設されています。

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