看護記録の書き方のキホン

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看護記録で困ったこと

看護記録の書き方を習っていても、いざ記録紙を前にすると、
なかなか書けないことがあります。
実際に現場で上がった「書けない理由」と、その問題の「解決策」について見てみます。

 

まず、「S」、「O」、「A」、「P」とは、どのようなものなのか見てみましょう。

 

「客観的データが、アセスメントか、どちらに書くべきか」という悩みは、
「S」、「O」、「A」、「P」それぞれの理解が曖昧な場合に生じるものといえます。

 

「S」とは、「Subjectiv data」の略で、「主観的データ」のことです。
患者さんが思ったり、感じたり、知覚したデータのことをいいます。

 

「O」とは、「Objective data」の略で、「客観的データ」のことです。
看護師か患者さんの視診や触診・打診・聴診など観察を行うことによって得られるデータのことをいいます。

 

「A」とは、「Assessment」の略で、収集したSデータとOデータから判断した場合、
「患者さんがどのような状態や状況にあるといえるのか?」というSデータ、Oデータを分析した結果としての結論です。

 

「P」とは、「Plan」の略で、「A」で明らかになった患者さんの状態や状況を改善していくための方法です。

 

患者さんの様子を多面的に、しっかりと観察することによって、
看護記録に書くべき内容をスムーズにかくことができるようになることでしょう。

 

患者さんについての事実的なデータを書くこと、
そして、そのデータを下に判断した内容を誰が見ても分るように書くことが大切です。

Q1.  客観的データが、アセスメントか、どちらに書くべきかを悩む。

「O」と「A」違いについてですが、
「O」は、看護師が行った患者さんについての観察データなので、
観察したことをそのまま記述すればよいものです。

 

* 「O」データの例: 血圧128/64mmHg

 

この「O」に対して「A」は、
収集したSデータとOデータを分析した結果としての結論なので、
収集したSデータとOデータから
「患者さんはどのような状態・状況にあると判断できるのか?」
という看護師の見解です。

 

* 「A」データの例: 血圧値は正常範囲、血圧について問題なし

 

つまり、「O」か「A」で悩んだ場合、その判断基準は、
観察したことが事実であれば「O」、
データを分析した結果としての自分の見解であれば「A」となります。

患者さんの状態に変化がないと同じ看護記録の内容になってしまう。

看護師が、自分の可能な範囲で十分に観察した結果、
患者さんの状態に変化が無いと判断したのであれば毎日同じような内容になる事も多くあるでしょう。

 

ですが、「変化がない」と判断した患者さんの状態はどのようだったのか思い出してみてください。

 

患者さんが、「看護師が問題状態や問題状況の改善い向けて関わっているにもかかわらず変化がない」のであれば、
「患者さんの状態や状況のどこに注目したのか」を思い出してみてください。
それによって、「S」や「O」の記述内容が異なり、
これにともなって「A」も異なってきます。

 

経時的にみると、患者さんの状態や状況は、少しずつ変化してくることもあると思います。
患者さんを多面的に注意深く観察する必要がありますし、
一定期間が経過しても、患者さんの状態に何の改善も見られないという場合は、
「S」と「O」を受け、「P」で「A」を受けて見直した介入内容を記述する必要があります。

 

また、「もうこれ以上はよくならないという状況や状態」で変化がなかったのであれば、
経時的に見ると、少しずつ変化があるかもしれません。
患者さんを多面的に注意深く観察することが大切です。

 

「毎日同じ内容になってしまう」と悩んでしまう場合は、
「患者さんを多面的に注意深くみているか」、「患者さんに関心をもってかかわっているか」など、
振り返って考えてみてください。

 

「患者さんの状態に変化がない」と見られる場合であっても、
患者さんに関心を持って、多面的に注意深く見ることで、
ほんの少しでも変化している患者さんに気付くことがあるかもしれません。
また、今の患者さんの状態を改善するため、
現在の介入を変更する必要性に気付く可能性もあります。

 

Q3. 経時記録をすぐに書けない場合で、状況を思い出すことに時間がかかり記録が手間になる。

 

このような悩みは、看護師の毎日にはよくあることです。
次から次へと引きもきらずに仕事が続く状態の人も多いことでしょう。

 

このような状況で、患者さんの状態や状況を全て思い出そうと
看護記録の記録に時間を駆けることはやむを得ないことであるといえます。

 

ですが、患者さんの状態や状況葉しっかりと記録しておくことが大切です。
たとえば、ユニフォームのポケットにメモをいれ、
「経時記録に記載すべき」と判断した事柄は、
記憶が鮮明なうちにメモに患者さんの名前と実施内容、時刻などを記しておくと安心です。

患者さんの状態と看護問題、看護目標があっていないとSOAPが書けない。

確かに「患者さんの状態と看護問題のズレ」や「看護問題と看護目標のズレ」があると、
看護記録を書くことができません。

 

看護記録には、看護診断ラベル(看護問題)ごとに
「S」、「O」、「P」、「A」で記述します。
ですが、患者さんの状態と看護問題にズレがあると、
「S」、「O」、「P」、「A」という思考プロセスに支障が生じます。
そして、看護診断ラベル(看護問題)の状態や状況がどうなっているのかを判断しようとしても、
状態によっては、患者さんは看護問題(看護診断ラベル)の状態や状況ではないため
「S」も「O」も収集しようとしても収集できません。

 

また、「看護問題」と「看護目標」にズレがある場合は、
「A」の段階に支障が生じます。
この場合は、看護問題と看護目標にずれがあるので、
「S」と「O」のデータより明らかになった「A」のデータで、
患者さんの状態や状況を看護目標の達成度という観点から評価することはできません。

 

つまり、「患者さんの状態」、「看護問題」、「看護目標」の全てがずれている場合は、
看護記録を書くことができません。
このようなズレが生じているとき、
そのズレに気付いたときには、再度「データ収集」をし、
「アセスメント」をし「看護診断(看護問題)」を行って
患者さんにあった計画が立案できるようにしていく必要があります。

 

患者さんにあっていない看護問題で無理やりSOAP展開しても意味がありません。
再度アセスメントを行い、看護問題を明らかにしていくことが大切です。

アセスメントがうまく書けない。

「アセスメントがうまく書けない。」という悩みも多くみられます。
「アセスメントがうまく書けない。」のは、
「アセスメントがうまくできない。」という理由と、
「アセスメントはできるが、文章表現がうまくできない。」と言う理由があります。
まずは、自分はどちらの原因で書けないのかを明らかにします。

 

「アセスメントがうまくできない。」という場合は、改めて看護過程のアセスメント部分を再確認してみてください。

確認が必要なアセスメント部分
(1) アセスメントの枠踏みの確認する

 

アセスメントの枠組みは、対象のどのような側面を指し示しているのかの確認も行います。

 

(2) データの収集方法を確認する

 

目的的・系統的に、Sデータ、Oデータを収集します。

 

(3) データの分析方法を確認する

 

データ一つを見て、問題・異常があるのか否か、
問題・異常がありそうなのか否かを判断し、
これらのデータをどのように解釈したときに対象はどのような状態・状況にあるといえるのかの判断をします。

「アセスメントはできるが、文章表現がうまくできない。」という場合は、
データをどのように解釈したときに対象はどのような状態・状況にあるといえるのかの判断部分を
分りやすく文章表現するための「文章表現トレーニング」を行うようにします。
また、他の看護師が記述したアセスメントを読むようにすると良いでしょう。
さらに、新聞や参考書などの記述を読む、書くなどのトレーニングもおすすめです。

患者さんの言葉を「暴力」や「暴言」と感じたときの記録の書き方

患者さんの言葉を「暴力」や「暴言」と感じたときの記録の書き方で悩む場合も多くあります。

 

このような場合は、患者さんの言葉そのままを「 」でくくって記載することをおすすめします。

 

「暴力」や「暴言」というのは、
「個々の言動を総合的に捉え、受け手が概念化した時のネーミング」です。
ですから、看護記録には「暴言」や「暴力」と言う言葉を使用する必要はありません。
患者さんの、そのときの言動をそのまま看護記録に記載します。

 

現状をありのままに、患者さんの言葉をそのまま「 」で残します。
そして、いつ、誰が、どのように対応したか、その内容を経時的に記録します。

 

患者さんの言動に関する「S」や「O」をそのまま記述し、
患者さんがどのような状態・状況にあるのかを「A」で記述することで、
「暴力」や「暴言」などの言葉を使用しなくても、
患者さんの状態や状況に関する記録は、きちんと記述することができます。

 

 

Q7. SOAP、経時記録、それ以外の記録の使い分けの判断が難しい

 

一般に、経過記録の際の記録形式の使い分けについて
共通した基準は設けられていません。

 

各施設の判断によって、
「記録形式はどの形式を採用するか」というのは決められています。

 

ですから、施設でSOAPと経時記録を併用しているのであれば、
施設の「看護記録記載基準」で、記録形式の使い分けを確認することが必要です。

評価日の設定をいつにするか

「評価日の設定をいつにしたら良いのか迷う。」こともあります。

 

短期目標や長期目標に対する評価日のことですね。

 

アルファロ(Alfaro)によれば、
「一週間以内に達成される目標は短期目標、
数週間から数ヶ月に渡って達成される目標は長期目標」であるというのが一般的です。
これをもとに評価日を考えてみると、
短期目標は一週間前後、
長期目標は数週間前後が目安となります。

 

ですが、昨今の入院期間の短縮化を考慮すると、
「短期目標は一週間前後、長期目標は数週間前後」という評価日設定の考え方を参考にしながら、
問題の状態や状況の性質を的確に把握し、
その上で臨機応変に評価日を設定することが必要です。