看護記録の書き方のキホン

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看護記録の書き方の実例 与薬事故:点滴速度間違い

事例: 患者名 H氏 76歳 男性

 

疾患名: 胃がん、心房細動、心不全

 

経過: 
8ヶ月前から心窩部膨満感があり、半年前に内視鏡検査を受けた。
検査の結果、胃がんと診断され、手術目的で入院。
10年前から心房細動による血栓塞栓症の予防のため、ワーファリン(ワルファリンカリウム)を服用。
手術のため、ワーファリンの内服を中止し、ヘパリン(ヘパリンナトリウム)入りの点滴を開始していた。

 

インシデント発生状況:
ソルデム3A(輸液)500ml+ヘパリン5000単位42ml/時(9時〜21時)で滴下の指示がでていた点滴を追加した。
その際、流量500ml/時、予定量42ml/時で設定し開始。
開始する前に設定を再度確認せず、6分後アラームが鳴っているため訪室。
流量と予定量を逆に設定したことに気付いた。
医師に状況を説明し、経過観察と残量を22時まで滴下の指示を受けた。

悪い記載例

〇月〇日
9:00 点滴終了。
ソルデム3A500ml+ヘパリン5000単位入り点滴を追加して開始。

 

9:06 アラームが鳴っているため訪室。
「完了」のアラームが鳴り、ポンプを確認すると、流量と予定量を逆に設定していた。
医師に状況を報告。
残量を21時まで滴下するよう指示を受ける。

 

9:35 点滴42ml/時で滴下中、本人から苦痛の訴えは聞かれなかった。

 

●修正が必要な場所

 

@ 点滴を追加し、設定値、観察した内容の記載をします。

 

A 流量、予定量、予定量より余分に入った量、点滴の残量、医師の指示内容について、具体的に記載します。

 

B 患者さんに説明した内容も記載します。

良い記載例

〇月〇日
9:10 点滴終了。
ソルデム3A500mL+ヘパリン5000単位入りの点滴を追加。
流量42mL/時、予定量:500mL/時で開始。
刺入部の腫脹なし、発赤なし、痛みの訴えなし。
 看護師〇〇

 

〇月〇日
9:16 アラームが鳴っているため訪室。
「完了」のアラームが鳴っていた。
ポンプの設定を確認すると、流量500mL/時、予定量42mL/時であり、
流量と予定量を逆に設定していた。
点滴残約450ml、血圧130/78mmHg、SpO298%、HR68回/分、動悸なし。

 

A医師に6分間でヘパリン入りの点滴が約42mL滴下したこと、
血圧130/78mmHg、SpO298%、HR68回/分、動悸なしであることを報告。
経過観察の支持を受けた。
点滴は、残量450mlを21時まで滴下の指示を受けた。

 

A医師から、点滴の設定を間違い、6分間で42mL滴してしまったこと、
今回のことが身体へ及ぼす影響は少ないことを説明し、設定した看護師もともに患者へ謝罪。
動悸や気分不快などがあれば伝えてくれるよう説明した。
 看護師〇〇

 

〇月〇日
9:35 点滴42ml/時で滴下中、動悸気分不快の訴えなし。
 看護師〇〇

記載上の注意点

点滴を追加する際に観察した内容、設定値を具体的に記載します。
発見時の状態、医師への報告内容、指示内容についても具体的に記載します。
* 主治医以外の医師に報告する場合は、疾患名、点滴内容、患者さんの状態を報告する必要があります。
患者さんに説明した内容、謝罪した内容についても記載します。