看護記録の書き方のキホン

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看護師さんのためのエンゼルケア

患者さんが、ご逝去されると、看護師の手によって、
清拭やエンゼルメイクなどの処置が施されます。

 

エンゼルメイクとは、亡くなった方を、
人生の最期にふさわしい姿に整えるため、
化粧を施したり、闘病の後や傷口をカバーしたりして、
人格や尊厳を保つことを目的としたケアのことです。

 

心を込めて逝去時ケアをするのですが、
その行為が、ご遺体を傷つける行為になってしまうこともあります。

 

ですから、逝去時ケアは、根拠に基づき、
本当に必要なケアをすることが大切です。

 

<逝去時ケアとは>

 

病棟で患者さんがなくなると、
逝去ケアとして看護師が提供できるのは、
「顔や身体の清拭」、「髭剃り」、「エンゼルメイク」
などを思い浮かべると思います。

 

以前の逝去時ケア、いわゆるエンゼルケアは、
患者さんが亡くなった後に、
やらなければならない死後の処置のひとつとして考えられていました。

 

そして、いろいろな風習や慣習などにより、
根拠のない方法が当たり前のように実施されていました。

 

しかし、現在は、死に至るプロセスを
大事にしようという考え方が浸透し、
エンゼルケアに関しても、今までのようなやり方でよいのだろうか?
と考えられるようになりました。

 

ですから、以前のエンゼルケアと、現在の逝去時ケアでは、
大きく考え方が異なります。

 

現在の逝去時ケアでは、
「処置」ではなく「ケア」と位置づけています。

 

「処置」とは「対処」という意味ですから、
逝去時のケアに対して「処置」という言葉を使うのは
あまり適切であるとはいえません。

 

呼び方も、患者さんが亡くなった途端に、
一人(生体・患者)という呼び方から、
一体(死体或いは遺体)に呼び方が変わります。

 

生と死の境界はあったとしても、
その人であることに変わりはありませんから、
「遺体搬送」という言葉を平然と使う意識も、
これからは変えていく必要があるのではないでしょうか。

 

医療者は、患者さんの尊厳を守ること、
そして、患者さんがその人らしく生きることができるように
手助けをしています。

 

それは、逝去されてからも同じで、
「その人の尊厳を守るためのケアを行う」
という視点でケアを行うことが必要です。

 

そして、家族である遺族のケアにつながる逝去時ケアについても
改めて考えなければなりません。

逝去ケアにもエビデンスが求めらる

逝去ケアでは、エビデンスに基づくケアが求められます。

 

エビデンスとは、「科学的根拠に基づいた」とか「根拠がある」という意味になります。

 

病棟などで患者さんが亡くなると、
勤務している病院の慣習や社会的な風習などにしたがって、
清拭やメイクなどを行っている看護師が多いのではないでしょうか。

 

患者さんが亡くなったときの逝去時ケアには、
挿入や装着器具を取り外したり、口腔内を洗浄した後に綿を詰めたり、
口を閉じてもらうために顎から頭に掛けてを縛ったり、
手を組んでもらうために手首を縛ったり、
全身を消毒液を含んだぬるま湯で清拭するなどがあります。

 

新人の頃に、先輩に手順や、なぜ、その行為が必要なのかを教えてもらい、
それを正しいケアだと信じて、
どのような患者さんに対しても、同じケアを行っているという人がほとんどです。

 

そして、そのケアの方法や根拠に対して、
疑いを持つこともなく、心を込めてケアを行っています。

 

ですが、本当にそれが必要とされる逝去ケアなのか・・・
ということを考えることが必要ではないでしょうか。

 

逝去時ケアは、医療行為ではありませんから、
エビデンスはほとんど叫ばれていません。

 

しかし、エビデンスを考慮しないケアや、
尊厳を重視しないケアが行われてよいとは思いません。

 

逝去ケアでは、その患者さんの面影を、可能な限り取り戻すために、
ご遺体の変化の仕組みを知り、
エビデンスに基づいたケアを、
そして、亡くなった患者さんやご家族の尊厳を大切にしたケアを行っていくことが必要です。

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