看護記録の書き方のキホン

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遺体のスキンケア

ご遺体は、時間と共に変化します。

 

いかに腐敗や腐臭、乾燥を防ぐかが逝去時ケアの大切なところです。

 

遺体の乾燥がおきる仕組み

 

重力に従って水分が下へと移動します。

 

仰向けになったときに、最も上側に来る部分は、
余計に乾燥します。

 

*高齢者の場合

 

生体内の水分量はおよそ52%です。

 

この水分量のうち、細胞内液は27%、細胞外液は25%で、
細胞外液の間質液は18%、血液(血漿)7%です。

 

ご遺体のスキンケアが必要な理由

 

ご遺体の乾燥を防ぐために、
顔のスキンケアや、全身の清拭、保湿がとても大切です。

 

なぜ、乾燥を防ぐためのスキンケアが必要なのかというと、
乾燥による身体の変形を最小限にとどめたいからです。

 

死後の乾燥現象は不可逆的で、心拍出停止によって水分の循環供給が停止すると、
皮脂の分泌が止まるので、皮脂膜効果も少なくなります。

 

ですから、何もしなければどんどん乾燥してしまいます。

 

特に、顔には、死後、大きな変化が見られます。

 

重力の影響によって、赤血球は沈下し、顔面の赤みはなくなり、
蒼白化します。

 

また、出っ張っている部分は水分が下へと移動するので、
より乾燥しやすくなります。

 

鼻の先はとがって唇の厚さは半分くらいになり、
目が乾燥すればまぶたが萎縮して半開き状態になってしまいます。

 

このように乾燥によって顔が変形すれば、
生前の表情とは大きく違ってしまいます。

 

このような乾燥をなるべく防ぐためには、
大切に優しく清拭をし、保湿剤を全身に塗布することが必要です。

 

たとえば唇の萎縮は、ジェルやクリームをたっぷり塗ります。

 

乾燥が起こりやすい部位

 

乾燥は、身体の凹凸の凸部に起こりやすいです。

 

全身: 顔部、頸部、手部、足部、陰嚢部

 

手足: 手背、指先、足先

 

顔面: 耳、鼻翼、唇、眼瞼、眼球、額、頬、顎の尖部、前頸部

 

 

乾燥が進むと・・・
*鼻の先は細く萎縮します。
*唇は萎縮し、生前の半分程度の厚さになります。
*眼は半開きになります。
*唇も開いてしまいます。

 

乾燥により生じる変化

 

死亡後、ご遺体は、「乾燥」→「変色」→「硬化」
→「変形」→「収縮」という順序で変化が起こります。

 

@ 変色

 

乾燥により、色素の濃縮によって変色します。

 

乾燥現象による変色の主な発症部位は、
顔(口唇、耳朶端、頬)、頸、手指、表皮剥離部などです。

 

A 硬化

 

乾燥によって、柔軟化が消失し硬化が起こります。

 

乾燥現象による柔軟化消失がおきる主な部位は、
口唇、手指、表皮剥離部、皮膚切端などです。

 

B 変形

 

乾燥によって、実質組織が収縮し、変形が起こります。 

 

乾燥現象による変形が起きる主な部位には、
口唇、手指、耳朶端、皮膚切端などです。

 

C 収縮

 

乾燥によって、線維組織が収縮します。

 

乾燥現象による収縮が起きる主な部位には、
口唇、手指、表皮剥離部、皮膚切端などです。

 

 

 

ご遺体の顔のスキンケア

 

エンゼルメイクを始める前に、丁寧にスキンケアを行い、
保湿をすることが必要です。

 

スキンケアというと、難しいと感じるかもしれません。

 

ですが、「クレンジング」と「保湿」がポイントです。

 

短時間で行うことができますし、癒し効果もあるので、
可能であれば、ご家族(遺族)と一緒に行うとよいでしょう。

 

ご遺体のスキンケアの行い方

 

・ご遺体のスキンケアはクレンジングクリームがおススメ

 

ご遺体のスキンケアを行うときには、
保湿成分が入った洗浄剤(クリーム)を使います。

 

ストーマ外来で使用していたり、
気管切開の部位など、
湯で洗浄できない部位や状況のときに利用している
クリームの洗浄剤を用いると宵のではないでしょうか。

 

このクリームを塗り、1・2分後に浮き上がってきた汚れを
ぬれたタオルなどで拭き取ります。

 

ゴシゴシこすらないように、さっとふきとるようにします。

 

クレンジングの後は、上からローションをぬって保湿します。

 

 

洗浄に、石けんを用いる事も多いようです。

 

ですが、石けんは、表皮の汚れが落ちますが、
皮脂膜も除去されてしまい、乾燥が助長されます。

 

ですから、保湿成分入りの洗浄剤を使用したほうがよいと思います。

 

医療機関には、それぞれ指定のスキンケア用品があります。

 

院内の皮膚・排泄ケア認定看護師などに相談し、
ご遺体のスキンケアに向いているものを選んでみてください。

 

 

クレンジングと保湿は、乾燥対策でもありますが、
臭気対策でもあります。

 

汚れが残ると、臭いの原因になってしまいます。

 

また、保湿をしっかりと行わなければ
ご遺体が自宅へ戻られてから、或いは葬儀場などで、
メイクのやり直しをすることも必要になります。

 

下地を整えずにメイクをしても、
後々大変になるのは、生きている私たちと同じです。

 

また、逝去時のケアでは、マッサージやメイクを施すことも大切ですが、
なるべく容姿を変えないように手を尽くすことが必要です。

 

メイクはできなくても、しっかり保湿はして差し上げるようにしましょう。

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