看護記録の書き方のキホン

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実習記録の悩み

(1) 必要な情報と、不要な情報の区別がわからない

 

実習記録の書き方に慣れていないと、
必要な情報と、不要な情報の区別がわからず、
分析する際に、収集してきた情報を活用できず、
無駄になってしまうことも少なくありません。

 

A: ある程度あたりをつける!

 

情報収集に行く前に、受け持ち時に与えられる情報から、
ある程度あたりをつけ、必要な情報を考えておくことが必要です。

 

まず大切なのは、ゼロから情報をとろうとしないこと。

 

指定の記録用紙にある情報収集の項目は、
あくまで一般的なものです。
チェックすべき項目ではありませんが、
すべての項目が同じ濃度で必要とは限りません。

 

ですから、情報収集に行く前に、
指定の記録用紙の項目を元に、
改めて必要な情報を考えておくようにします。

 

ある程度ポイントを絞り、
とるべき情報を整理しておくことをおススメします。

 

集めた情報を元に関連図を書き、看護診断を立てていくのが本来です。

 

ですが、情報はとても多く、時間には限りがあります。
ですから、本来のやり方では時間がかかりすぎてしまいます。

 

現実的な方法として、疾患と年齢などの受け持ち時に与えられる情報から、
ある程度看護診断を予測し、必要な情報を絞ることが必要です。

 

感覚としては、あたりをつける感じです。

 

確定していない点があるのは前提なので、
決めつけすぎないように気をつけ、
「だいたいこのような感じかな?」と
想像力を働かせるようにします。

 

一見無駄に見える情報も、無意味とは限りません。

 

ドキュメンタリーの手法である人を描くとき、
その厚みは捨てた情報の量にあるとも言われています。

 

その意味では、ある程度情報を多めにとることは大切なことです。
ですが、患者さんの負担は考えるようにしましょう。

 

(2) 患者さんに質問して答えてもらった情報は(S)か(O)か

 

 

患者さんに質問して答えてもらった情報が、
(S)か(O)か、悩んでしまいます。

 

A: 書き方によって、(S)にもなりますし(O)にもなるでしょう。

 

基本は、学校の方針に従います。
質問して答えてもらったときの患者さんの表情など、
観察した(O)情報も記載すると良いでしょう。

 

書き方としては2つの方法が考えられます。

 

@ (O)に、どのように質問したかという状況を書き、
  (S)に、患者さんの答えを書きます。

 

A (S)に「○○という問いに対して」と前置きし、
  患者さんの答えを書きます。

 

このように二つの書き方があります。

 

具体的に例を挙げると、

 

@ S: 「痛みはありません。」
  O: 創部の痛みについてたずねると、上記のように返答を得た。

 

A S: 創部の痛みについてたずねると「痛みはありません。」

 

というような書き方です。

 

どのような表情で返答をしたか、
あなたが見て、本当にいたそうではなかったかなどの情報も、
不必要に応じて記載していきます。

 

 

(3) アセスメントが情報の羅列になってしまう

 

アセスメントが情報の羅列になってしまうという悩みもあります。
分析が得意になるためには、どこに視点を置けばよいのでしょうか。

 

A: 分析で大切なのは、基準をはっきりさせることです。

 

学生さんは経験が少ないので、不得意で当然です。

 

分析で大切なのは、基準をはっきりさせることです。
検査結果なら正常値が基準になります。
ですが、家族のあり方のように価値観に関するものであれば、
異常・正常を決め付けず、多様性を認めたうえでの分析が必要です。

 

経験だけに頼るのは良くありませんが、
「あのときはこうだったけれど、今度はこうだな。」など、
いろいろな基準が自分のものになります。
これが分析力につながります。

 

多様性を認めるものの場合のほうが分析が難しく、
この場合は白書や各種の統計が役に立ちます。

 

 

分析では、基準をはっきりさせましょう。

 

 

(4) 問題の優先順位がわからなくなる

 

分析をしていると、たくさんの問題が挙がってきます。
すると、どの優先順位を上に持ってくればよいのかが
わからなくなります。

 

A: 致命的で容易に起こりうるかを基準とし優先度をつける

 

物事の優先順序をつけるときは、
大きな差がつくものと、微妙な差のものが混在しています。

 

まず、微妙なものは後回しにして、
大差がつくものについて順位をつけるようにします。

 

看護の問題では、それがどれだけ致命的で、
かつ容易に起こりうるかによって優先度をつけると良いでしょう。

 

上位に来るのは、致命的で容易に起こるものです。
逆に命にかかわらずめったに起こらないものは下位になります。

 

たとえば、せん妄状態での転等などの問題は上位にきます。

 

悩むのは、致命的だけれど、めったに起こらないものです。
また、命にかかわることはないけれど、
頻繁に起こるものの取り扱いにも悩みます。

 

命にかかわるものを上にしたとしても、
それが100%正しいということができないという点が
この「優先順位がわからない」という点の難しいところです。

 

(5) 個別性が考慮できない

 

記録を書く際に、参考書や雑誌などを参考にしても、
なかなか個別性を考慮できないという人も多いでしょう。
参考書や雑誌などをうまく活用し、個別性を出すコツとは?

 

A: 個別性が出やすいのは具体的なケアプラン

 

個別性が出やすいのは、具体的なケアプランです。

 

ケアを実践する中で、個別性が見えてきます。
そうしたら、アセスメントを追加し、
問題の表現を変更することも可能です。

 

たとえば、問題を表現するのに個別性を盛り込むのは
とても難しいです。
むしろ、具体的なケアプランを立てたほうが
個別性が出るでしょう。

 

たとえば、痛みのある患者さんの更衣を手伝う場合、
痛みの部位や麻痺の有無などによって
安楽なやり方が変わってきます。

 

座位のほうが楽な場合もあれば、
臥床したほうが楽な場合もあります。

 

さらに介助する量も考えましょう。

 

全面的に介助してでも苦痛を取るほうが良いのか、
ある程度の昨日を維持するために自分でしてもらうほうが良いのか、
その点についてもケアプランに記入する必要があります。

 

このような内容を記録に書いていくと、
個別性のあるケアプランになります。

 

このような積み重ねから、
アセスメントを追加し、
問題点の表現を変更しても良いのです。

 

実際ケアをするなかで、
ケアプランもアセスメントも、問題も磨かれます。

 

これこそ看護過程の醍醐味といえるでしょう。

 

(6) 書く内容がなくて困る

 

退院が間近で、何も問題がないように感じる患者さんを受け持ったとき、
看護問題をあげるのに困ったり、
日々の計画や経過記録などを書く内容がなくて困ることもあります。
そのような時はどのようにしたら良いのでしょうか。

 

A: もう一度、看護問題が本当にないかどうかを検討する

 

患者さんの状態が変化して問題がない状態です。

 

ですが、新たな看護問題が本当にないかどうか、
もう一度検討してみましょう。

 

解決した看護問題も、退院後に再燃する可能性もあります。

 

看護問題が減っていくのはとても喜ばしいことです。
ですが、学生にとってまったくないというのはとても困るというのが本音でしょう。

 

書くことがないと、用紙を前に途方にくれてしまうという人もいると思います。

 

このような時は、患者さんの状態が変化したのですから、
本当に新たな看護問題がないのか、しっかりもう一度考えてみるようにします。

 

適切に修正がなされていなければ、
看護問題はこの時期になると退院後の生活指導がメインになってきます。

 

今までに挙げた看護問題で、解決したものであっても、
退院後は別の形で再燃しうるものもあるかもしれません。

 

たとえば、転倒の可能性のある高齢者の患者さんであれば、
退院後の生活の中で、転倒防止は必須です。

 

入院前と比較し、日常生活動作(ADL:activities of daily living)が
低下していないかどうかアセスメントしてみましょう。

 

このような詰めを行いながら、
患者さんとのかかわりを楽しむことができると良いですね。

 

考えようによっては、記録抜きに患者さんとかかわるのは
私服のときです。

 

患者さんとおしゃべりをして、
日誌の所感に感じたことをたくさん書き込みましょう。

 

(7) 患者さんの目標が思いつかない

 

看護目標を「〜と口にすることができる」としたら、
看護師に「できたらどうなの?」とつっこまれてしまった、
患者さんの目標に連動させた学生の目標もうまく立てられない…と
悩んでいる人も多いことでしょう。

 

このような場合の看護目標の立て方とは?

 

A: 患者さんにどうなってほしいのか

 

まず、患者さんにどうなってほしいのかを考えます。
そして、患者さんがどうなりたいのかを考えましょう。

 

「〜と口にすることができる」とは、
看護する側が患者さんに望むことです。

 

患者さんがどうなりたいと思っているのかを考えると、
もう少し深く考え書くことができるでしょう。

 

(8) 精神面への援助計画

 

計画を立てる際、疾患や症状に対する計画は、
参考書などを参考に立てることができます。

 

ですが、精神面への援助計画を立てるのが難しく、
どうすればよいの?と思ってしまう学生さんも多いのではないでしょうか。

 

A: 身体的ケアを通して患者さんの精神を看護する

 

身体的ケアを通して、患者さんの精神を看護するものです。

 

身体と精神はともに存在し、相互的なものです。

 

看護師であれば、具体的な看護をとして、
患者さんの精神を看護するものではないでしょうか。

 

たとえば、身体的な苦痛があれば、
それを緩和することが、精神的看護につながります。

 

精神的看護が具体的なケアプランとして、
このような身体的ケアが出てくるのは自然のことです。

 

たとえば、リフトバスでの入浴など、
ほっとできる時間を提供するのもよいですね。
このようなケアプランを、精神的看護プランに入れると良いのではないでしょうか。

 

(9) プロセスレコードが苦手

 

プロセスレコードを書くのが苦手だという人も多いですね。
うまく書くコツはあるのでしょうか。

 

A: 学生同士で練習し、勘所をおさえられるようにする

 

プロセスレコードが苦手だという人は、
学生同士で練習し、会話そのものの覚え方をマスターするのがおススメです。

 

一言一句違わない必要はありません。

 

勘所をおさえるようにしましょう。

 

プロセスレコードを書く際の一番大事なポイントは、
やり取りを実際に交わした言葉で覚えていることです。

 

当たり前と思われるかもしれません。
ですが、これが意外に難しいのです。

 

おススメなのは、学生同士でプロセスレコードを書く練習をすることです。

 

その際、ICレコーダーで録音し、それを文字に起こしてみます。

 

できれば、患者さんとのやり取りも録音し、
文字おこしができると確実です。
ですが、それはあまりにも実習本位の考え方で、実際にすることはできません。

 

ですから、学生同士で練習を重ね、
会話そのものの覚え方をマスターします。

 

一言一句違わないとまでは言いません。
なんとなくこんなやり取りをしたなとい程度でよいでしょう。

 

この感覚がつかめれば、プロセスレコードが書けるはずです。

 

ひたすら練習あるのみです。

 

(10) どこまで書くか

 

いろいろとケアしたり、忙しかったりすると、
書くことが多くて整理できないという人もいると思います。

 

また、人と量を比べてしまうという人もいるでしょう。

 

実習記録は、どこまで書けばよいのでしょうか。

 

A: 全体的にバランスよく書く

 

翌日の実習に差し障りのない程度に、
全体的にバランスよく書くようにします。

 

同じことを毎回書くより、その日の特別な内容を中心的に書くようにします。

 

また、人と量を比べる必要はありません。

 

ですが、やはり人と量をくらべてしまいがちです。

 

時間に限りがありますから、翌日の実習に触らない範囲で、
時間を決めて書くようにします。

 

そして、一つの行為や項目に注力しすぎてしまい
時間切れになってしまったということがないように、
全体的にバランスよく書くのがコツです。

 

記録は多ければよいとは限りません。

 

指導する側になると、読むのも大変な労力になります。

 

その日特別に見られた内容を中心的に、
いつも同じ内容ははしょって書くと良いでしょう。

 

まず、その日の特別な内容を書き、
時間があればルーチンな内容も書くようにしてみてはいかがでしょうか。

 

(11) 先生よって言うことが違う

 

先生によって言うことが違うので、
先生に合わせた記録の書き方にしなければならないのが大変だという人も多いでしょう。

 

A: 社会勉強だと思って乗り切る!

 

看護の正解は一つではありません。

 

先生それぞれにやり方があって当たり前です。
社会勉強だと思って、困りながら乗り切りましょう。

 

このようなことは、社会ではいくらでも起こります。

 

せっかくですから、いろいろなやり方を学びましょう。
いろいろなやり方を学び、最終的なスタンスを選ぶのは自分です。

 

困りながら、ぼやきながら、乗り切っていくようにしましょう。

 

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