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腎機能障害の鑑別に使う検査異常値

腎機能を見るためには、
老廃物の排泄や濾過機能を評価する数値を見るのが基本です。

 

腎機能をみる主な検体検査データは、
尿検査による尿蛋白、尿沈査、尿潜血、
血液検査による血清クレアチニン(Cr)、
尿素窒素(BUN)、電解質などがあります。

 

腎臓の働き

 

腎臓の働きには、以下のような働きがあり、
この働きが障害されることによって様々な症状が現れます。

 

(1) 血中の老廃物・有害物質を除去する。

 

 血液中のBUN、Cr、尿酸などの不要物質を濾過し、尿として排泄する。

 

(2) 細胞外液量や浸透圧を調節する。

 

(3) 水・電解質代謝の平衡を維持する。

 

(4) 酸・塩基平衡を調節する。

 

(5) ホルモンを産生する。

 

  血圧のコントロール(レニン・ンギオテンシン系)、
 骨髄での赤血球の産生(エリスロポエチン)、
 活性型ビタミンD3の生成に関連するホルモンなどを産生する。

 

クレアチニン

 

クレアチニンは、大部分が糸球体で濾過される物質ですから、
血中濃度の上昇によって糸球体障害が分ります。

 

血清クレアチニン(Cr)は、腎機能を評価するうえでとても重要な
糸球体濾過量(GFR)に依存する数値です。

 

一般的にCrの基準値は、成人に比べて小児で低く、
成人では女性よりも男性のほうが高い値になります。
また、痩せている人や肥満の人よりも筋肉質の人のほうが高い値を示します。
これは、Crの産生量が年齢や筋肉総量に相関することによります。

 

Crは、肝臓や腎臓で合成されるアミノ酸の一種クレアチンの代謝物であり、
筋肉のエネルギー代謝によって作られます。
そして、殆どが筋肉中に蓄えられ、最終代謝産物、つまり、老廃物として、
腎臓の糸球体で濾過され、尿中に排泄されます。

 

腎臓に疾患があり、糸球体が障害されれば、
尿中に排出する量は減少し、Crは血中にうっ滞して、
血清Cr値が上昇していきます。

 

ですが、腎臓には代謝機能があります。

 

ですから、GFRが50%以下にならないと血清Crはあまり上昇しません。

 

そこで、クレアチニンクリアランス(Ccr)が、
初期の腎障害でもGFRの低下を知る指標として用いられています。

 

クレアチニンクリアランス(Ccr)は、尿中と血清のCrや尿量、体表面積などから、
糸球体が1分間にCrを含む老廃物を何ml濾過するかを調べる方法です。

 

Ccrを求めるには、正確な蓄尿や尿量測定が必要です。

 

日常の診療では難しい場合が多いので、近年は、新たな方法として、
Crと年齢、性別の3要素を考慮した、推算糸球体濾過量(eGFR)で
腎機能の異常をスクリーニングしています。

 

* クレアチニンクリアランス(Ccr)の求め方

 

 Ccr = (尿中Cr(mg/dl)×尿量(ml/min)/ 血清Cr(mgl/dl)×1.73/体表面積(u)

 

* Cr、Ccr、eGFR のまとめ

 

 Cr = 主に腎機能の指標とされる。

 

 Ccr = 糸球体濾過機能を評価する。

 

 eGFR = 血液データと年齢・性別からGFRを推測する。 

 

尿沈査

 

尿沈査の円柱とは、腎実質の異常が分る所見で、
尿細管を鋳型とした円柱状の物質のことをいいます。

 

尿沈査は、尿を器械を使って遠心分離し、
沈殿した有形成分を顕微鏡で観察する検査です。

 

尿を遠心分離した後の沈殿成分とは、
赤血球、白血球、上皮細胞、円柱、結晶、細菌・寄生虫などがありますが、
円柱は、増加によって腎実質(尿路を含まない)の病変を推定することができる
大切な所見となります。

 

円柱とは、尿細管で分泌されるT-Hムコ蛋白がゲル化して円柱状に固まったもので、
硝子円柱、顆粒円柱、赤血球円柱、白血球円柱などに区別されます。

 

少数の硝子円柱を除き、病変の鑑別にはその種類が重要な意味を持ちます。

 

例えば、赤血球円柱が認められる場合は、
糸球体に出血があることが分りますし、
白血球円柱は糸球体の炎症があることが分ります。

 

一般に腎機能の指標として用いられるCrは、
腎臓の代償機能がある程度悪くならないと数値に反映されないので、
腎臓の障害を鋭敏に発見するには、
尿沈査の異常所見は重要であるといえます。

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