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耐糖能異常の鑑別に使う検査異常値

耐糖能異常は、主に血糖値、HbA1c、75gブドウ糖負荷試験で見極めます。

 

耐糖能とは

 

耐糖能とは、上昇した血糖値を正常値に戻す、
或いは血糖値を正常に保つ能力のことをいいます。

 

血糖値の恒常性維持には、膵臓から分泌されるインスリンが重要な働きをします。

 

そして、このインスリンの分泌量や反応、作用に問題が起きている病変が糖尿病で、
耐糖能異常と呼ばれる所以です。

 

耐糖能を調べる検査

 

耐糖能を調べる代表的な検査には、
血糖値(随時または空腹時)、HbA1c、75gブドウ糖負荷試験(OGTT)があります。

 

HbA1cは、採血時の過去1〜2ヶ月の平均血糖値を反映する、
血漿コントロール状態の重要な指標になります。

 

OGTTは、空腹時に口から(Oral)、75gのブドウ糖(Glucose)を含んだジュース300kcalを飲み、
身体がその糖に対してどれだけ耐えられるか(Tolerance)を試験(test)する検査です。

 

ブドウ糖を摂取した後、0分後、30分後、60分後、90分後、120分後に採血し、
血液中の血糖とインスリンの増加を調べます。

 

血液中の血糖とインスリンの両方を調べることによって、
膵臓の分泌能なども調べることができ、
血糖値やHbA1cでは確定できない
軽度の耐糖能異常を調べることができる最も鋭敏な検査として用いられています。

 

空腹時126mg/dl以上またはOGTT2時間値200mg/dl以上で、
糖尿病型と判定されます。

 

ですが、この検査は、糖を負荷することによって、
隠れている耐糖能以上を明らかにするために行うものですから、
既に糖尿病であることが確定している人には行いません。

 

現在糖尿病の疑いが否定できない場合に行う検査です。

 

* 血糖値・AbA1c のまとめ

 

血糖値・AbA1c = 糖尿病診断と血糖コントロールの指標

 

空腹時と食後に血糖値を測る理由

 

空腹時と食後の血糖値を測るのは、
食後血糖値を測定することによって、
初期の糖尿病を検出することができるからです。

 

私たちの身体には、食事を摂ると血糖値が上昇し、
同時に急速にインスリンが分泌され、血糖値を下げています。

 

ですが、軽度の耐糖能異常がみられる場合は、
食事による血糖上昇にインスリンが対応しきれず、
食後の血糖値が高い値になります。

 

耐糖能異常が軽度の場合は、食後の血糖値が高くても、
時間をかけて一生懸命インスリンを分泌して処理すれば
次の食事までに正常の血糖値に戻すことができます。

 

ですが、さらに耐糖能異常の程度が進んでしまうと、
次の食事までに処理仕切れなうなり、空腹時の血糖値も上昇してしまいます。

 

HbA1cもかなり高いようであれば、
糖尿病は煤でいることになります。

 

耐糖能異常がある場合、インスリンが枯渇している、
または基礎分泌が低下している、
或いはインスリンの働きが悪い(インスリン抵抗性)状態なのかどうか、
評価することが必要です。

 

早期空腹時のインスリン値が15μ/mlを超える場合には、
明らかなインスリン抵抗性が示唆されます。

 

インスリン抵抗性を簡単に評価する方法

 

インスリン抵抗性を簡単に評価するには、
HOMA-Rを応用するという方法があります。

 

膵臓から分泌されるインスリンは、
血液中のブドウ糖と結合し、血糖を各細胞に届けます。

 

それによって、血液中の血糖が減少し、血糖値はさがります。

 

ですが、インスリンと細胞との親和性が低下していると、
インスリンが正常に働くことができません。
これをインスリン抵抗性といいます。
そして、このようにインスリンの作用が現れにくい糖尿病を、
インスリン抵抗性糖尿病と呼びます。

 

この状態になると、血糖値が高くなり膵臓はインスリンをどんどん分泌します。
つまり、空腹時のインスリンが血糖に比べて高めになります。

 

インスリン抵抗性を評価するためには、HOMA-Rという指標を用います。

 

 HOMA-R = 空腹時血糖(mg/dl) × インスリン(μU/ml)/405

 

この計算式で、1.6以下が正常、2.5以上はインスリン抵抗性であり、
4.0以上で高度のインスリン抵抗性と判断されます。

 

インスリン抵抗性と判断されれば、
インスリン抵抗性改善薬を使用するなど、薬剤選択の指標となります。

 

この計算式は、一見覚えにくい計算式に思えますが、

 

 空腹時血糖 × インスリン = 2.5 × 405 ≒ 1000

 

と覚えておくと良いでしょう。

 

こう覚えておくと、空腹時血糖とインスリンの積が1000以上であれば、
インスリン抵抗性があると考えることができます。

 

糖尿病の人は必ず尿糖がでているのか?

 

糖尿病の人は必ず尿糖が出ているのかというと、「必ず」と言い切ることはできません。
逆に、尿糖が出ていないから糖尿病でないともいうことができません。

 

検査が陽性で、基本的には血糖値が170mg/dl以上を示唆しますが、
この場合、必ずしも糖尿病であるということはできません。

 

尿糖は、血糖値が概ね170mg/dl以上になると尿に溢出します。

 

尿糖が陽性であれば、その時点で、それ以上の高血糖であることが示唆されますが、
腎性糖尿がある場合などでは、血糖値が170mg/dl以下でも陽性を示すことがあります。

 

尿糖の検査は、糖尿病のスクリーニングとしては優れています。
ですが、170を超えないと陽性にはなりません。

 

直前の食事の影響も受けますから、糖尿病の直接の診断に用いる事もできません。

 

ですから、糖尿病の人は必ず尿糖が出るとはいえませんし、
逆に尿糖が出ないから糖尿病でないとも言えません。

 

ただし、早朝空腹時血糖値が正常であっても、
朝、尿糖が出ていれば「昨夜寝てから朝起きるまでに、
血糖値が170mg/dlを超えていた時間が有る。」と推測できますし、
「食後の血糖値は170mg/dlを超えていたであろう。」と考えることができます。

 

血糖値はその瞬間しか分りません。

 

しかし食後血糖のみが高く、空腹時血糖が正常な場合など、
スポットの数字が分れる場合は、尿糖を見ることによって、
血糖値が高い値を示していた時間があった可能性を推測することができます。

 

血糖コントロールの把握

 

血糖コントロールの把握には、
尿糖、血糖値、HbA1cのほか、尿/血中ケトン体、尿中/血中Cぺプチド(CPR)が参考になります。

 

* 血糖コントロールの把握のまとめ

 

尿/血中ケトン体 : 酸塩基平衡異常をみる。

 

尿中Cペプチド・血中Cペプチド(CPR) : 内因性インスリン分泌を反映する。

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