筋萎縮性側索硬化症の原因
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因を探求するための研究は、
目覚しい進歩を遂げています。
ですが、現時点では、まだ十分に解明されていません。
しかし、患者さんの5〜10%ほどが優性遺伝(若年発生、緩徐進行)で、
そのうちの20%が染色体21番のSOD(superoxlde dismutase:スーパーオキシドジスムターゼ)遺伝子の
異常があることが現時点で判明しています。
そして、今までの研究から、原因ではないかとされている仮説があります。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因仮説
(1) グルタミン酸過剰説
手足を動かす指令は脳から発信されます。
そして、グルタミン酸の助けを借りて運動ニューロンを介し筋肉に伝えられます。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)では、
シナプスから出てくる興奮性アミノ酸であるグルタミン酸を取り込む機能が障害されます。
そのため、神経細胞の外のグルタミン酸が過剰になり、
運動ニューロンが壊れるのではないか?という説です。
(2) 環境説
紀伊半島などで、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者さんが他の地域よりも多く発生しました。
このことから、環境の中にある何かが原因ではないか?という説です。
(3) 神経栄養因子欠乏説
神経の成長、傷ついた細胞を回復させるために必要な成分が欠乏することにより、
運動ニューロンが壊されるのではないか?という説です。
(4) 家族性/遺伝性説
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、90〜95%が遺伝と関係なく発生しているので、
家族性の筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、約5〜10%だといわれています。
しかし、家族性の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者さんの中に、
活性酸素を解毒する酵素遺伝子であるSoD1の突然変異が発見されました。
このことから、突然変異した遺伝子が
運動ニューロンを死滅させる原因の一つではないかという説が生まれました。
SoD1遺伝子の変異は、家族性筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者さんの約20%です。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の診断と鑑別診断
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の診断には、
下位運動ニューロンと上位運動ニューロン変性の所見が必要です。
特に筋萎縮性側索硬化症(ALS)の初期には、
臨床所見は少なく、その初発身体部位はさまざまという特徴があります。
また、しばしば病初期には、下位運動ニューロン障害が目立ち、
上位運動ニューロン所見を欠く場合があったり、
その逆の場合があります。
或いは、球麻痺症状が最初に出る場合もあります。
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