看護記録の書き方のキホン

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Na異常とともにCl異常が起こる

Cl異常は、塩分の摂取量に影響することがあります。

 

長期に渡る高塩食や低塩食によってNaと共にClの摂取量が通常と異なる状況が持続すると、
それがClレベルの変化として現れる可能性があります。
また、生理食塩水やリンゲル液などの塩分をたくさん含む輸液の過剰投与によって、
高Cl血症が引き起こされる事もあるので注意が必要です。

 

排泄や喪失の異常によってCl異常をきたす事もあります。
例えば、嘔吐や吸引などによってClの豊富な胃液を喪失したときや
利尿薬等によってClの再吸収が低下し、
通常よりも排泄が促された場合などに低Cl血症になります。

 

Na異常をきたす原因、特に脱水や水分過剰などは、
体液量と密接に関連した病態は、いずれもCl異常を伴う可能性があります。

相互に影響を与え合うClとHCO3

尿細管性アソドーシスやアルドステロン分泌異常など、腎でのHCO3再吸収率に異常をきたした場合や、
下痢による消化液喪失などHCO3の豊富な体液を失った場合のCl異常は、
代謝性アシドーシス・アルカローシスが原因になっていることがあります。

 

また、呼吸性のアルカローシス/アシドーシスが先に存在し、
その代謝作用が代謝性に生じた場合も、
代謝性アシドーシス・アルカローシスが原因になっていることがあります。

 

酸塩基平衡とのかかわりを考える際に注意すべきことは、
HCO3とClの関係は一定的なものではなく、互いに影響を与え合うため、
両者の変化の因果関係が逆になる事もあり得ると言うことです。

 

例えば、利尿薬の過剰投与により塩分喪失が著しいときは、
Clの低下に伴いHCO3の再吸収が促され、アルカローシスの原因になりますし、
どちらかが原因ともいいがたく互いの変化を助長しあっていることもあります。

DH異常では必ずしもCl異常を伴わない

酸塩基平衡異常が存在する場合であっても、必ずしもCl異常を伴うわけではありません。

 

細胞外液の陰イオンは、ClとHCO3によってその大半が占められていますが、
その量を合計してもNaにはおいつきません。
なぜなら、リン酸イオンなど、ClとHCO3以外の陰イオンがわずかに含まれるためです。
このような少数派の陰イオンを「滴定酸」といいますが、
何らかの原因によって滴定酸が増加すると、これに押されてHCO3は減少します。
しかし、陰イオンの総量の減少が根底にあるわけではないので、
Clが代償的に増加する余地はありません。
このような場合は、Cl異常を伴わない代謝性アシドーシスを呈することになります。

 

具体的には、乳酸アシドーシスや糖尿病性ケトアシドーシスなど、
臨床的に決して珍しくない、重篤な病態が該当することがよくあります。

なぜHCO3だけがpHに深く関わるのか

ClもHCO3も陰イオンであることに変わりはありません。
ですが、なぜpHに深くかかわるのはHCO3だけなのでしょうか。

 

Clは、塩酸という強酸由来の陰イオンです。
そして、HCO3は、炭酸という弱酸由来の陰イオンです。

 

塩酸は、水に溶けるとほぼ完全に水素イオンとClに電離します。
炭酸も水中で電離し水素イオンとHCO3になりますが、
HCO3は、過剰な水素イオンを見つけるとこれに結合し炭酸に戻ろうとしてしまいます。

 

重炭酸イオン自体がアルカリ性であることを覚えておくと、
代謝性アシドーシス・アルカローシスとの関係を間違える事もありません。

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