看護記録の書き方のキホン

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mg/dlとmEq/l

臨床検査で、血中Ca(血中カルシウム)の値を参照する際には、
いくつか注意しなければならないことがあります。

 

その一つは、単位表記の問題です。

 

カルシウム濃度の単位には、主に「mg/dl」と「mEq/l」というに通りの流儀があります。
Ca(カルシウム)の原子量は40で、そのイオンは2価の陽イオンです。

 

このことから、「Caは、2meqあたりの質量が40mgである(=1mEqあたり20mg)」
という関係が導かれ、例えば、

 

5mEq/l = 5 × 20mg/l = 100mg/l = 10mg/dl

 

となります。
そして、Ca濃度の正常値は、8.4〜10.4mg/dl(4.2〜5.2mEq/l)程度です。

アルブミン低下時のCa

血中のCaのうち、イオン化した(Ca2+)は、全体の約半量しかなく、
残りはアルブミンに結合するなどして存在しています。
ですが、重要な生理活性を有するのはCa2+なので、この部分のみを測定できると最良なのですが、
残念ながら非常にコストがかかるので、
実際には、総Ca濃度を測定し、「イオン化しているのはこのうちの半量くらい」
という前提の下で体を解釈しています。

 

アルブミンが低下している状況では、アルブミン結合Caの部分が減少するので、
総Ca濃度を測定し、「イオン化しているのはこのうちの半量くらい」という前提は成りたちません。
この状態のままCa2+だけみると、正常なのに低下しているように思えたり、
高Ca血症に気付く事ができなかったりするかもしれません。
ですから、この場合は、血清アルブミン値を手がかりにし、
Caの内訳をある程度推測します。

 

「仮にアルブミンが低下していなければ、総Ca濃度はどれくらいを示したはずか?」
という発想の元に補正を行ってCaの内訳を予測する、より簡便な方法があります。
この方法により、普段と同じ判断基準でCa濃度を評価することができるようになるのです。

カルシウム値の補正の考え方

血清アルブミン1gに対し、Caが1mg結合すると仮定すると、
アルブミン値は通常4.0g/dl程度ですから、
例えばアルブミン2.8g/dlのもとで総Ca濃度が10.1mg/dlの場合、
アルブミン結合Caが4.0-2.8=1.2mg/dlほど減少した状況のもとで得られた値だと考えます。

 

つまり、アルブミン低下がない場合は、
総Ca濃度は、本来10.1+1.2=11.3mg/dlくらいを示したはずだと推測できるわけです。

 

このように、補正する前には隠れていた高Ca血症の可能性が見えてくるのです。

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