肺炎は、種類によって症状の特徴が異なります。
細菌性肺炎
・肺炎球菌性肺炎
肺炎球菌性肺炎は、突然高熱が出て、鉄錆色の喀痰が出ます。
また、一葉を侵す大葉性肺炎になることもあります。
・インフルエンザ菌肺炎
インフルエンザ菌肺炎は、上気道の病変から発症することが多いです。
また、慢性気管支炎や気管支拡張症に合併して発症することも少なくありません。
・モラクセラ肺炎
モラクセラ肺炎は、冬場に多く発生する肺炎で、
気管支肺炎で発症することが多いです。
・ブドウ球菌肺炎
ブドウ球菌肺炎は、院外発症の場合は、
メチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA:
methicillin sensitibe Staphylococcus aureus)が多く、
院内発症の場合は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA:
methicillin resisitant Staphylococcus aureus)が多いです。
医療従事者が媒介となる院内感染(MRSA)もあるので、
手洗いがとても重要です。
ブドウ球菌肺炎は、肺化膿症や膿胸を合併しやすいという特徴があります。
・クレブシエラ肺炎
クレブシエラ肺炎は、急性発症し、重篤化しやすい肺炎です。
院内で、免疫機能が低下した人が罹患しやすいです。
・緑膿菌肺炎
緑膿菌肺炎は、緑色の喀痰や膿性痰を伴う肺炎で、
抗菌薬に耐性を示すものが多いです。
医療従事者が媒介となる院内感染のあるので、
手洗いはとても重要です。
異型肺炎
・マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマ肺炎は、若年者に多い肺炎です。
乾性咳嗽や発熱が主な症状で、
胸部CT像ではすりガラス様の陰影や粒状の影が見られることも多いです。
・クラミジア肺炎
クラミジア・シッタシ肺炎は、オウム病と言われ、
鳥類から感染する肺炎で、重症化することもあります。
クラミジア・ニューモニエ肺炎(クラミジア肺炎)は、
ヒトからの感染で、成人の市中肺炎の10%程度を占めます。
・レジオネラ肺炎
レジオネラ肺炎は、温泉や公衆浴場などで水を介して感染した肺炎で、
重症化しやすいです。
レジオネラ肺炎の症状は、発熱、比較的徐脈、咳嗽、筋肉痛などがあります。
マクロライド系、抗結核薬のリファンビジンを投与します。
肺真菌症
・肺アスペルギルス症
アスペルギルスは、腐った野菜など自然界、建築物の内部に存在し、
胞子を吸入することによって感染します。
・肺クリプトコッカス症
肺クリプトコッカス症の原因菌は、鳥類の糞の中で増殖しやすく、
感染すると髄膜炎を併発することがあります。
フルコナゾールなどの抗真菌薬を投与します。
・ニューモシスチス肺炎
ニューモシスチス肺炎は、
AIDS(acquired immunodeficiency syndrome:後天性免疫不全症候群)患者など、
免疫力の低下した患者さんに合併することが多い肺炎です。
原虫・ウイルスによる肺炎
・サイトメガロウイルス肺炎
サイトメガロウイルス肺炎は、免疫力が低下した易感染者が感染する
日和見感染として発症します。
・その他のウイルス性肺炎の原因
インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、水痘ウイルスなどがあります。
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