ブレーデンスケール
ブレーデンスケールは、各項目を評価し、合計点によって
褥瘡予防介入の有無を判定するものです。
項目がとても多いので、
ある程度の知識がないと判定できません。
簡単に使用できるものではありませんが、
様々な患者さんに用いることができるというメリットがあります。
ブレーデンスケールの点数により、
介入しなければならない方向性が見えてきます。
たとえば、「可動性」で「1. 全く体動なし」という評価であれば、
マットレスを入れたり、体位変換を行うなどのケアが必要になります。
ブレーデンスケールの使い方
ブレーデンスケールの「知覚の認知」、「湿潤」、「活動性」、「可動性」、
「栄養状態」の5項目は4点満点で、3点以下の項目がある場合は、
「正常ではない。」と判断します。
さらに、2点以下の場合は、ケアを始める目安になります。
ブレーデンスケールの「摩擦とずれ」は、
3点満点と重みづけされていて、2点以下で「正常ではない」と判断します。
このブレーデンスケールによる褥瘡発生の危険点は、
病院では合計14点、施設では合計17点とされています。
基本的に、急性期では48時間ごとに、
慢性期では一週間ごとに評価します。
高齢者の場合は、入院後一ヶ月間は一週間ごと、
その後変化がなければ3ヶ月ごとに評価を行ないます。
ブレーデンスケールの評価点
●知覚の認知
圧迫による不快感に対して適切に反応できる能力を評価します。
1点: 痛みに対するうめく、避ける、つかむなどの反応なし。
この反応は、意識レベルの低下や鎮静による、
或いは体のおおよそ全体にわたり痛覚の障害があります。
2点: 痛みにのみ反応する。
不快感を伝えるときに、うめくことや、身の置き場なく
動くことができません。
或いは、知覚障害があって、体の1/2以上にわたって、
痛みや不快感の感じ方が完全ではありません。
3点: 軽度の障害がある。
呼びかけに反応しますが、不快感や体位変換の必要性を
いつも伝えることができるわけではないという状態です。
或いは、いくぶん知覚障害があり、四肢の1.2本において、
痛みや不快感の感じ方が完全ではない部位があります。
4点: 障害なし。
呼びかけに反応し、知覚欠損もなく、痛みや不快感を訴えることができます。
●湿潤
皮膚が湿潤にさらされる程度を評価します。
1点: 常に湿っている。
皮膚が汗や尿のために、殆どいつも湿っている状態です。
患者さんを移動したり、体位変換するたびに、湿気が認められます。
2点: たいてい湿っている。
いつもではないが、皮膚が、しばしば湿っている状態です。
各勤務時間中に、少なくとも一回は寝衣寝具を交換する必要がある状態です。
3点: 時々湿っている。
皮膚が時々湿っている状態です。
定期的な交換以外に、一日一回程度、寝衣寝具を追加して交換する必要がある状態です。
4点: めったに湿っていない。
皮膚は、常に乾燥していて、定期的に寝衣寝具を交換すればよい状態です。
●活動性
行動の範囲を評価します。
1点: 臥床
寝たきりの状態です。
2点: 座位可能
殆ど、或いは全く歩けず、自力で体重を支えることができず、
椅子や車イスに座るときは、介助が必要な状態です。
3点: 時々歩行可能
介助の有無に関わらず、日中、時々歩きますが、
極端に短い距離に限られます。
各勤務時間中に、殆どの時間を床上で過ごしている状態です。
4点: 歩行可能
起きている間は、少なくとも1日2回は部屋の中を歩き、
且つ、少なくとも2時間に一度は、室内を歩きます。
●可動性
体位を変えたり、整えたりすることができる能力を評価します。
1点: 全く体動なし
介助なしでは、体幹、または四肢を少しも動かさない状態です。
2点: 非常に限られる
時々、体幹、または四肢を少し動かす程度です。
しかし、しばしば自力で動かしたり、
有効な体動(圧迫を除去するような体動)はしません。
3点: やや限られる
少しの動きではあるが、しばしば自力で、
体幹または四肢を動かす状態です。
4点: 自由に体動する
介助なしで何回も適切な体動(圧迫を除去できるような体動)をします。
●栄養状態
普段の食事摂取状態を評価します。
1点: 不良
決して全量摂取しない。
めったに出された食事の1/3以上を食べない。
タンパク質・乳製品は、1日2皿(カップ)分以下の摂取である。
水分摂取が不足している。
消化態栄養剤(半消化態・経腸栄養剤)の補充がない。
絶食中である。
透明な流動食(お茶やジュースなど)を摂取することがある。
末梢点滴を5日間以上続けている。
2点: やや不良
めったに全量摂取しない。
普段は、出された食事の1/2ほどしか食べない。
タンパク質・乳製品は、1日3皿(カップ)分以下の摂取である。
時々、消化態栄養剤(半消化態・経腸栄養剤)を摂取することがある。
流動食や経管栄養を受けているが、その量は、1日必要摂取量以下である。
3点: 良好
一日3回以上の食事をし、一食につき半分以上は食べている。
タンパク質・乳製品は、1日4皿(カップ)分摂取している。
ときどき、食事を拒否することもあるが、勧めると通常捕食する。
栄養的におおよそ整った経管栄養や高カロリー輸液を受けている。
4点: 非常に良好
毎食おおよそ食べ、タンパク質・乳製品は、1日4皿(カップ)分以上摂取している。
ときどき、間食もしている。
捕食する必要もない。
●摩擦とずれ
1点: 問題あり
移動のためには、中等度から最大限の介助が必要。
シーツでこすれず身体を動かす事は不可能。
しばしば床上やイスの上でずり落ち、全面介助で何度も元の位置に戻す事が必要。
痙攣、拘縮、振戦は、持続的に摩擦を引き起こします。
2点: 潜在的に問題あり
弱弱しく動く。
最小限の介助が必要。
移動するとき、皮膚は、ある程度シーツやイス、抑制帯、補助具などに
こすれている可能性がある。
殆どの時間は、イスや床上で比較的よい体位を保つことができる。
3点: 問題なし
自力でイスや床上を動き、移動中も身体を支えることができる筋力を備えている。
常時、イスや床上で比較的よい体位を保つことができる。
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