看護記録の書き方のキホン

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褥瘡予防についてのジショニングの行い方

(1) アセスメント

 

ポジショニングをするときは、実施前からのアセスメントが必要です。

 

もちろん、施行中も、施行後もアセスメントは必要ですが、
施行前から継続したアセスメントを行うことが重要です。

 

施行前のアセスメント

 

・痛みの部位、場所。
・意識レベル。
・関節や筋力などの身体部位について。
・患者さんがよく取る体位、好きな体位(家族からも聞く)

 

施行中のアセスメント

 

・患者さんがどのような反応を示しているか。
・問題や課題があれば明確に。
・体位の安定が図られているか。
・摩擦やずれがないか。
・マットレスとポジショニングピローの組合せは適切か。

 

施行後のアセスメント

 

・疲労感はないか。
・身体に違和感はないか。
・ゆがみやズレが改善されているか。

 

(2) ポジショニングの実施

 

ポジショニングを行うときは、体位を変えたり、
ポジショニングピローを入れたりしながら、
優しくマッサージをしたり、声を掛けたり、タッチングするなどして、
患者さんに安心してもらうようにします。

 

そうすることで、緊張が緩むので、体位変換やピローの挿入がしやすくなります。

 

ゆがみ・筋緊張の把握

 

患者さんの身体に、どのようなゆがみや筋緊張があるのかを、
まず把握します。

 

肩・股関節・膝・足先など左右の観察を線で結び、
体軸に対して垂直であるかどうかをみると、
ゆがみの有無が判断できます。

 

ヒトが活動する際は、重力に反して行う必要があります。

 

そのため、ヒトは、「正常姿勢反射機構」という機能を備えています。

 

正常姿勢反射機構とは、自動的に身体のバランス調整を行う機能のことです。

 

ゆがみが生じると筋緊張が起きるのは、
この正常姿勢反射機構のためで、
筋緊張をそのままにしておくと、組織血流が低下したり、
関節拘縮、筋拘縮に伸展するため、ゆがみは整えなければなりません。

 

ポジショニングピローの適切な挿入場所を
見極めて、ゆがみを整えることが必要です。

 

体位変換は頭部から足側へ

 

ポジショニングをする際、体位変換が必要になるケースがあります。

 

そのときは、一気に全身を動かすと患者さんが驚き、
不安を感じてしまうので、頭部側から足側へという順番で動かします。

 

まず、頭部を向けたい方向に動かします。

 

すると、視覚から得た情報を身体感覚から得た情報が統合されるので、
患者さんが身体を動かす心構えをすることができます。

 

次に、肩関節を動かします。

 

骨盤を支えながら動かすと、スムーズに向きを変えることができます。

 

そして、最後に足の位置を整えます。

 

面で身体を支える

 

ポジショニングでは、体位を安定させるため、
点ではなく、面で身体を支えるようにすることが大切です。

 

もちろん、体圧分散の面からも、
狭い面(点)で支えるより、広い面で支えたほうが、
接触圧は低くなります。

 

身体を面で支えることができるようにするためには、
患者さんとマットレスの隙間にポジショニングピローを入れます。

 

隙間の大きさに合わせてピローの種類や数を選び、
なるべく身体を広い面で支えることができるように工夫します。

 

ずれ力の解除

 

身体を動かすと摩擦とずれが起こり、
このズレが褥瘡発生の大きな原因になります。

 

ですから、身体を動かした後、
必ず、この「ずれ力」を解除しなければなりません。

 

しっかり解除することで、寝具や寝衣のしわが取り除かれ、
患者さんの安楽が増して筋緊張の緩和にもつながります。

 

拘縮は重力を利用

 

腕や足が拘縮している患者さんに対して、
オムツ交換のときなど、その拘縮を無理に伸ばそうとすると、
骨折の可能性が生じますから、伸ばしてはいけません。

 

無理に伸ばそうとすると、患者さんに痛みや不安を
与える事にもなってしまうので、
それが緊張を高め、さらに拘縮が強くなるなど、
悪循環を招くことにもなってしまいます。

 

拘縮がある患者さんのケアの際には、
重力をうまく活用する事が大切です。

 

「重力をうまく活用する。」とは、
ポジショニングピローを挿入するとき、
力の向きをどのような方向にすれば重力がうまく利用できるかを
考えることです。

 

健側にも注意する

 

片麻痺のある患者さんの場合は、麻痺側ばかりに
注意を向けてしまいがちです。

 

しかし、健側にも注意しなければなりません。

 

麻痺側と一緒に健側にもポジショニングピローを使用すると、
麻痺側の安定保持を妨げてしまいます。

 

また、自力での動きを制限してしまうこともあるでしょう。

 

ですから、麻痺側だけでなく、健側もよく観察し、
健側の動きをさまたげないように、
ピローの入れ方・位置を検討することが必要です。

 

(3) 背抜き

 

背抜きとは、ズレと圧の解除のことです。

 

臥床している患者さんの頭部を挙上することを「背上げ」、
挙上した頭部を下げることを「背下げ」といいます。

 

ベッドアップ時は、身体が重力によってずり下がるのを防ぐため、
下肢を20度挙上(膝挙上)させ、
下肢挙上、背上げの準に少しずつ交互に挙上します。

 

そして、ずれ予防につながる下肢挙上の最終角度は、
20度くらいだといわれています。

 

そして、ベッドの屈曲点と股関節の屈曲点をあわせることが大切です。

 

上前腸骨棘をベッドの屈曲点にあわせるようにするとよいです。

 

背上げを行ったときは、姿勢の評価も忘れずに行いましょう。

 

姿勢が傾いていないか、足側に下がりすぎていないかを確認します。

 

股関節の屈曲点とベッドの屈曲点が合致するように注意しながら、
姿勢をまっすぐに正しましょう。

 

さて、背上げをすると、ずれ力が生じます。

 

その角度が高くなればなるほど、背中とお尻、下肢後面に
ずれ力が生じるのを防ぐことができません。

 

そこで、「背抜き」を、必ず行うようにします。

 

また、背下げ時にも、必ず背抜きを行うようにしましょう。

 

背下げのときにも、頭側にひっぱられるようなずれ力が生じます。

 

背上げのときは、必ず行っている背抜きも、
背下げのときには、つい忘れてしまうということも多いようです。

 

しかし、必ず背抜きを行い、圧を解除しなければ、
褥瘡の原因になりますし、悪化につながりますから、
必ず行うようにしてください。

 

背抜き

 

背上げを行った後は、必ず背抜きを行うようにします。

 

背抜きをするときは、両肩をしっかり支え、
背中をベッドから剥がすようにします。

 

背中の左右両側共に、完全に離れるようにしましょう。

 

そして、自分のほうにひきよせるようにし、
転落に注意しながら上半身を行い、
終わったら下肢の圧抜きを行います。

 

下肢の圧抜きは、足の付け根までしっかり剥がすようにしてから、
置きなおしましょう。

 

また、ポジショニンググローブを用いて、
ベッドに接着している体表面を
グローブをつけた手で撫でると、ずれ力がかなり少なくなります。

 

(4) 30度側臥位のポジショニング

 

30度側臥位のポジショニングは、仰臥位では仙骨に集中する圧を、
30度の傾斜によって臀部の接触面を増やし、分散できるということに、
大きなメリットがあります。

 

ですから、臨床現場では、30度側臥位で体位を整えることが多いです。

 

身体を結ぶラインが曲がっていると、
身体はバランスを整えようと筋緊張が生じます。

 

ですから、ゆがみのチェックは必ず行うようにします。

 

また、30度側臥位のポジショニングは、
痩せて臀部が削げ落ちてしまっている人や、
股関節に変形や拘縮がある人には向いていません。

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