看護記録の書き方のキホン

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子宮頸がんの術後の看護

子宮頸がんの術後は、排尿障害などの合併症が起こることが少なくありません。

 

訓練によって改善されることもあるので、
あせらないように伝え、適切にケアをしていくことが必要です。

 

また、大きな手術になった場合は特に、
長い入院生活によって体力が想像以上に衰えてしまいます。

 

退院したからといってすぐに通常の生活に戻るのは無理があるため、
疲れを感じたらすぐに休む、
炊事や洗濯、掃除等の家事も、退院後2週間目くらいから
少しずつ始めるように伝えましょう。

 

あせってしまうと、体や心に負担がかかってしまい、
かえって回復が遅くなってしまいます。

排尿障害への看護

・排尿障害とは

 

排尿障害とは、生理的な蓄尿と排尿の過程のいずれかに異常がおきている状態のことで、
尿意を催して排尿姿勢をとっても排泄がスムーズに行われないなどの症状が出ます。

 

子宮頸がんの手術療法である広汎子宮全摘出術に関連した排尿障害は、
手術手技の特徴から子宮頸部を固定している3つの靭帯である
「膀胱子宮靭帯」、「仙骨子宮靭帯」、「基靭帯」の
特に基靭帯切断時に骨盤神経叢を損傷して生じる「神経陰性膀胱」が最大の原因になります。

 

手術手技によって、膀胱や尿道の位置や角度の変化、
膀胱粘膜の浮腫なども排尿障害の要因になります。

 

一度切断された神経は再生しませんが、残存している神経が代償し、
排尿機能が回復する可能性があります。

 

その経過には個人差があるため、過度に希望を持たせてしまうと、
「焦り」につながることがあるため、
術後2週間から年単位で回復できる可能性があることを伝えます。

 

そして、患者さん自信が、自分なりの排尿のコツをつかむことができるように
具体的な方法を説明しましょう。

 

最も大切なのは、患者さん自信が克服への意欲を高め、
そのプロセスをともに歩むことが重要です。

 

・排尿障害のケアのポイント

 

(1) 尿意の有無、下腹部の膨満感、自然排尿量と残尿量を
   定期的に測定し、排尿障害をモニタリングします。

 

(2) 尿意がある場合はその都度トイレに行きますが、
   尿意がない場合も3〜4時間ごとに排尿を試みます。

 

(3) 排尿の誘導方としては、陰部に温水をかけたり、
   水の音を聴くなどの工夫も効果的です。
    また、腹式呼吸を実施したり、
   便座に腰をかけて軽く前かがみになり、
   腰を左右に動かして自分なりの排尿ができる体位を
   工夫するようにします。

 

(4) 多飲や下腹部の過度の圧迫は、
   膀胱過伸展や内圧上昇をきたし感染を引き起こす可能性があります。
   ですから、無理な自然排尿を継続せず、
   清潔間欠自己導尿法を積極的に取り入れるようにします。

 

(5) 一日の尿量を目安に、1.5〜2リットル程度の水分を摂取します。
   ですが、夜は、睡眠をしっかりとりたいため、夕食後は控えるように説明します。

 

(6) 骨盤底筋運動については、神経因性膀胱には有効ではありません。

 

(7) 薬物療法が行われている場合には、内服確認と評価を行います。

 

(8) 排尿障害からくる不安や気がかりを傾聴しましょう。

近年、子宮頸がんは20代から40代、50代での罹患率が
とても高くなっています。

 

比較的若い患者さんも多いことから、
妊娠、出産、結婚、家族のこと、夫婦のことなど、
いろいろな日常生活の中で不安になったり、心配になり、
病気そのものよりも心を病んでしまう人も少なくありません。

 

 

セクシュアリティへの看護

 

性の意義には、生殖性、快楽性、連帯性の3つの特性があります。

 

特に連帯性は、人間だけが感じることができる
心の絆を確認する価値のある特質であることから、
人間の性は全人格を現すセクシュアリティと捉える事が重要です。

 

単なる生物学的な問題、
或いは性器等の身体の一部に限定されたものではなく、
全人間的な問題、人と人との関係の重要な部分と考える必要があります。

 

・セクシュアリティへの看護のポイント

 

セクシュアリティへの問題についても
十分に考え、ケアしていくことが必要です。

 

子宮頸がんの手術を受けることは、
子宮摘出とともに膣管の短絡がおこるので、
性交時に痛みを感じやすくなります。

 

また、女性としての象徴である月経や子宮がなくなるということは、
女性としての意味がなくなったと受け止めることも考えられます。

 

このような状況に対し、
夫には自分の身体症状や気持ちがわかって欲しいと願う一方で、
分かってもらえないという寂しさを感じていることも少なくありません。

 

夫婦にとってのセクシュアリティに対するニーズは、
お互いの日常生活におけるコミュニケーションに関わります。

 

夫婦としての会話を持ち、
手術による身体的変化を理解し、
思いやり、ともに考え行動することが大切です。

 

自分の気持ちや感情が、お互いに表現できるように支援しましょう。

 

卵巣摘出への看護

 

子宮頸がんの手術では、特に広汎子宮全摘出術は
手術範囲が広くなります。
そして、骨盤内全域、及び卵巣を摘出することが多いです。

 

両側の卵巣を摘出すると、下垂体一卵巣系の内分泌機能障害が起こるため、
卵巣欠落症状である一種の自律神経失調症が生じます。

 

・卵巣摘出への看護のポイント

 

(1) 症状の出現は、精神的要因も関係しています。
    ですから、患者さんの訴えを傾聴し、患者さんを取り巻く生活環境などの背景を理解するようにします。

 

(2) 患者さんが気持ちを表現し、
   自己の不安に気づくことができるように働きかけるようにします。
   そして、受容的態度で関わるようにします。

 

(3) 心身の安静、睡眠を十分に取れるように支援します。

 

(4) 症状が強く、改善しない場合は、
   精神安定薬やホルモン薬の投与を医師と一緒に検討します。

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