看護記録の書き方のキホン

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基本の輸液製剤(1)

生理食塩液は、細胞外液にのみ水分と電解質を補給します。

 

細胞膜は、水の透過性が高いものの、
電解質の透過性は低いという性質を持っています。

 

0.9%の塩化ナトリウム(NaCl)を含む生理食塩液は、
血漿の浸透圧とほぼ等しく(等張)、
血管内に投与されると細胞外液に分布します。

 

また、細胞内外に浸透圧差が生じることがないため、
細胞外気から細胞内液へと水分が移動することもありません。

 

ですから、細胞外液に水分と電解質を補給したい場合、
出血、ショック、熱傷、手術などのときに
細胞外液を補給するために選択されます。

 

また、大量嘔吐や糖尿病性昏睡の補正を目的に
投与される事もあります。

 

時に、生理食塩液に含まれるNa+とCl-lによって、
電解質のバランスが変化し、
高クローム血症、代謝性アシドーシスを発症することがあるので
注意しなければなりません。

基本の輸液製剤(2)

5%ブドウ糖液は、細胞内外の水分量を補正します。

 

水を補給するために、なぜ、5%ブドウ糖を入れるのかというと、
5%ブドウ糖液は、細胞内液と細胞外液を補充するのに適しているからです。

 

ブドウ糖は、血液の中に入れるとすぐに代謝され、
水(自由水)と二酸化炭素に分解されます。

 

いったん、細胞外液に分布された水は、
細胞外液の浸透圧が下がることで、
細胞内液へと移動します。

 

そして、体液の分布比率に準じ、
細胞内に3分の2、細胞外に3分の1の割合で分布されます。

 

ですから、5%ブドウ糖液は、
単純に細胞内液と細胞外液を補充するのに適しています。

 

もし、血管内に直接水を入れると、
水は赤血球(細胞)内に流れ込み、赤血球が膨張し、
溶血を起こしてしまいます。

 

ですが、細胞内とほぼ等張の5%ブドウ糖液を入れるので、
溶地せずに水を供給することができます。

 

ですが、糖尿病で糖代謝に問題がある場合や、
過剰投与での高血糖、浸透圧利尿による脱水には注意することが必要です。

 

投与速度は、0.3g/kg/時間が適切で、
0.5g/kg/時間を超えないように設定することが必要です。

 

☆輸液製剤のポイント

 

・高張液以外の輸液製剤のベースは、
 5%ブドウ糖液と生理食塩水の混合でできていると考えましょう。

輸液製剤の違い

●5%ブドウ糖液と生理食塩液の違い

 

5%ブドウ糖液と生理食塩水には、
浸透圧を等張にするためにブドウ糖のNaClがそれぞれ添加され、
生理食塩液には、Na+とCl-が154mEq/lずつ含まれています(Na=Cl)。

 

つまり、5%ブドウ糖液と生理食塩液の本格的な違いは、
Na濃度の違いです。

 

●リンゲル液と乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液の違い

 

等張液は、細胞外液補充液とも呼ばれています。

 

そして、等張液には、生理食塩液のほかに、
リンゲル液、乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液などがあります。

 

・リンゲル液

 

生理食塩液には、Na+とClーが添加されていますが、
K+とCa2+を添加し、
より細胞外液(血漿)の電解質組成に近づけたものがリンゲル液です。

 

電解質組成がNa<Clが特徴で、
出血性ショックや熱傷、手術時、代謝性アシドーシスの治療に用いられます。

 

・乳酸リンゲル液

 

リンゲル液には、血漿にあるHCO3-が含まれていません。

 

そこで、HCO3-の代わりに乳酸イオンを加えたものが乳酸リンゲル液です。

 

・酢酸リンゲル液

 

リンゲル液には、血漿にあるHCO3-が含まれていません。

 

そこで、HCO3-の代わりに酢酸イオンを加えたものが酢酸リンゲル液です。

 

・重炭酸リンゲル液

 

HCO3-は、体内での酸塩基平衡を維持する物質です。
乳酸や酢酸は代謝されるとHCO3-になるので、
体内でアルカリ化材として機能します。

 

「〇酸リンゲル液」は、Na>Clが特徴で、
等張液の中では、最も細胞外液の電解質組成に近くなっています。

 

ですが、肝障害の患者さんでは乳酸代謝ができず、
乳酸リンゲル液の使用によって、乳酸性アシドーシスを招くことがあります。

 

そこで、より細胞外液組成に近い、
炭酸水素イオンを加えた重炭酸リンゲル液も使われています。

 

●低張液の1号液〜4号液の違い

 

低張液には、1号液(ソリタ?T1号)、2号液(ソリタ?T2号)、
3号液(ソリタ?T3号)、4号液(ソリタ?T4号)があります。

 

この低張液の1号液〜4号液の違いは、
生理食塩液を5%ブドウ糖液で割った割合と電解質の含有量です。

 

・1号液(ソリタ?T1号)/開始液

 

 生理食塩液を5%ブドウ糖で1/2〜2/3に希釈したものです。

 

 Na濃度は、生理食塩液の2/3ほどです。

 

 病態が明確になっていない脱水患者さんなど、
 脱水が水分欠乏症か、Na欠乏症か不明の場合に使用します。

 

 K濃度を含んでいないため、高K血症の有無に関わらず使用することができ、
 腎機能が低下している患者さんへの投与も可能です。

 

・2号液(ソリタ?T2号)/脱水補給液

 

 生理食塩液を5%ブドウ糖で1/2〜2/3に希釈したものです。

 

 Na濃度は、生理食塩液の2/3ほどです。

 

 K濃度は、20mEq/lで、Pを含みます。

 

 KとPが添加されているので、細胞内液、細胞外液の電解質補正のために使用され、
 1号液で利尿がついた後で、低張性脱水(Na欠乏症)に用います。

 

・3号液(ソリタ?T3号)/維持液

 

 Na濃度は、生理食塩液の1/4ほどです。

 

 K濃度は、20mEq/lです。

 

 1号液で利尿がついた後で、高張性脱水(水分欠乏性脱水)に用います。

 

 経口摂取が不十分な場合に、水電解質の維持輸液を目的としても使用されます。

 

 Na以外にも、KやP、マグネシウム(Mg)などが含まれ、
 3号液を2000ml/日投与すれば、
 一日の最低限の必要量を維持することが可能です。

 

 ただし、Kが含まれていますから、
 腎機能が低下している患者さんへ投与する場合は、
 尿量の観察が必要です。

 

・4号液(ソリタ?T4号)/術後回復液

 

 Na濃度は、生理食塩液の1/4ほどです。

 

 K濃度は、ゼロ。

 

 Kを投与したくないときや、術後早期、乳幼児手術、腎不全、
 高齢者、新生児に用います。

 

 KとPを含まず、主に電解質補正が不要な水分補給を目的に用いられます。

 

 3号液適応の患者さんに対して、Kを投与したくない場合や、
 術後の早期輸液、腎機能障害、新生児や乳幼児、高齢者に適します。

 

☆低張液のポイント

 

1号液〜4号液は、生理食塩水を5%ブドウ糖液で希釈しています。

 

細胞外液への分布 → 1号液・2号液 ≧ 3号液・4号液
細胞内液への分布 → 号液・2号液 < 3号液・4号液

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