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カリウム濃度異常の時の輸液管理

カリウム異常の病態

 

ナトリウム(Na)は、主に細胞外液に分布していますが、
カリウム(K)は、その殆どが細胞内液に分布しています。

 

そして、細胞内液で、酸塩基平衡、浸透圧、水分保持に関する大切な役割を担っています。

 

細胞外液に存在するKは、通常4mEq/l前後に保たれていますが、
過剰、或いは欠乏すると、K濃度異常の常態となり、
細胞へのダメージが懸念されます。

 

高値では、神経や筋系の機能障害による心停止、致死性不整脈などの症状が出現します。

 

低値では、筋・神経系、循環器系、消化器系などの機能障害が出現します。

 

特に、緊急性を判断する上で、心電図変化に注意をすることが必要です。

 

心電図モニターでの判断材料

 

・高カリウム血症

 

テント状T波、P液消失、QRS幅の拡大、徐脈

 

・低カリウム血症

 

T波の平低下、陰性T波、ST低下、U波の出現

 

カリウム異常の輸液管理のポイント

 

カリウム異常の輸液管理のポイントとしては、
Kの多くは細胞内にあり、血清K値は3.5〜5.0mEq/lと狭く
K濃度異常は軽度での発見が難しいこと、
致死性不整脈など重篤な症状が現れやすいので、
高カリウム血症や低カリウム血症に特徴的な心電図に注意する必要があること、
K投与時には、濃度や速度に注意が必要なことなどが挙げられます。

 

カリウム異常の時に使用する輸液製剤

 

高カリウム異常の時に使用する輸液製剤には、
グルコン酸カルシウム、インスリン、重炭酸ナトリウム、
低カリウム異常の時に使用する輸液製剤には、
K製剤などがあります。

高カリウム血症の輸液管理

高カリウム血症とは

 

高カリウム血症とは、血清中のK濃度が5mEq/lを超えた状態をいいます。

 

低血圧に伴う頻脈の症状が現れ、筋力が低下したり、
筋脱力感、四肢のしびれ感が現れます。

 

重症になると、麻痺、意識障害、心停止など、
重篤な状態になる事も少なくありません。

 

Kは体内にどのくらい保たれているか

 

・細胞内

 

細胞内には、細胞内液24L × K150mEq/l = 3600mEq くらいに保たれています。

 

・細胞外

 

細胞外には、細胞外液12L × K4mEq/l = 50mEq 位に保たれています。

 

高カリウム血症の原因

 

高カリウム血症の原因としては、
腎機能の低下、アルドステロン作用・分泌の低下が考えられます。

 

Kの約90%は、尿中に排泄されますが、
腎不全、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系障害、尿細管異常などによって
腎機能が低下すると、排泄障害となり、
高カリウム血症も認められるようになります。

 

また、痩せている人や、体格が小さい人、
サイコペニアにも注意をしなければなりません。

 

筋肉量が少ないと、細胞内液が小さくなり、
結果、Kが上昇する割合が高くなります。

 

高カリウム血症の輸液療法の基本

 

高カリウム血症の治療では、アシドーシスの是正が重要になります。

 

緊急治療として、グルコン酸カルシウムの投与、
細胞内へのKの取り込みを促し、血中K濃度を下げるグルコース・インスリン療法が行われます。

 

これは、ブドウ糖が細胞内に取り込まれる際にKを一緒に取り込む作用により、
K濃度を下げる治療です。

 

具体的に、50%ブドウ糖液50mlに、即効性インスリン5〜10単位を加え、
時間をかけてゆっくり静脈注射します。

 

或いは、10%ブドウ糖液250mlか、5%ブドウ糖液500mlに即効性インスリン5〜10単位を加え、
時間をかけてゆっくり静脈注射します。

 

この持続投与療法によって、血中のK濃度は0.1〜1.52mEq/低下します。
効果は投与後30分程度で現れ、数時間持続します。

 

ですが、Kは体外に排泄されるわけではありません。

 

あくまでもグルコース・インスリン療法によって、
K濃度が低下しているだけですから、中止すると上昇してしまいます。

 

緊急性を脱したら、重炭酸ナトリウムなどの点滴を行い、
アシドーシスを改善して細胞内へのKの取り込みを促進し、
同時に尿中へのKの排泄を促進させ、K濃度を下げます。

低カリウム血症の輸液管理

低カリウム血症とは

 

低カリウム血症とは、K摂取の不足やアルカローシスに伴うKの細胞内への移動、
或いは下痢などによる病的な体液の喪失、尿細管性アシドーシス(RTA)などが原因となり、
K濃度が低下し、3.5mEq/l未満になった状態をいいます。

 

低カリウム血症の症状

 

低カリウム血症になると、
食欲不振、脱力、無気力、低血圧、不整脈などの症状が現れます。

 

さらに低カリウム血症が続くと、脱力感が強くなり、
麻痺性イレウスなどによる鼓腸や、四肢麻痺などの症状がでます。

 

また、慢性的な低カリウム血症は、
低カリウム血症性腎性を引き起こします。

 

尿濃縮能の低下によって、多尿、多飲、夜間頻尿などの症状がでます。

 

低カリウム血症の輸液の基本

 

低カリウム血症の輸液の基本は、
問題となっている細胞外液のK欠乏を補正することが重要です。

 

可能であれば、経口補給を行いますが、
緊急時には、細胞外への分泌を目的にKCLを補液し、
リン酸カリウム製剤、或いはアスパラカリウム?を投与します。

 

ですが、低カリウム血症の補正速度には限界があります。
改善までには時間を要します。

 

K投与時には、濃度や速度に注意が必要です。

 

末梢静脈から投与する場合は、40mEq/l以下の輸液濃度で、
20mEq/時間以下の速度を目安とし、細胞内にKが移行しないように、
糖を含まない輸液ルートに投与します。

 

* Kの補給は、腎不全の患者さんには行いません。

 

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