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ナトリウム濃度異常の輸液管理

Naとは

 

Na(ナトリウム)は、細胞膜を介して細胞内外で水の移動を起こす
「有効浸透圧物質」で、細胞外液に主に分布しています。

 

このNaを調節することによって体液量が調節されます。

 

体液の張度(有効浸透圧)は、水によって調節されています。
そして、水の摂取と排泄のバランスをとることによって保たれています。

 

さらに、摂取は口渇感、排泄は抗利尿ホルモン(ADH)によって調節されています。

 

Na濃度は、張度に比例しているので、Na濃度を維持することが
張度を維持することになります。

 

つまり、張度は、「濃さ」と考えるとわかりやすいです。

 

私たちには、汗や、不感蒸泄、嘔吐などによる体液喪失がありますが、
この量のコントロールによって、体液の濃度バランスをとることは不可能です。

 

量のコントロールによって、
体液濃度バランスの調節が可能なのは「尿」です。
ですから、尿の張度を調節することによって、
体液の張度を調節することができます。

 

具体的には、体液が濃くなると、濃い、つまり高張な尿が排泄され、
逆に体液が薄くなると、薄い、つまり、低張な尿が排泄されます。

 

このように水(自由水)を排泄し、尿の張度のバランスを図ることにより、
Na濃度が調節され、体液の張度が維持されます。

 

このように、Naを調節することによって体液量が調節されていくのです。

 

そして、尿張度がうまく調節されなければ、ナトリウム濃度異常が発症します。

 

 

ナトリウム濃度異常で使用する輸液製剤と治療薬

 

ナトリウム濃度異常では、低ナトリウム血症(等張液/生理食塩液、1号液)、
高ナトリウム血症(5%ブドウ糖液、ループ利尿薬(フロセミド))を使用します。

 

 

ナトリウム濃度異常の輸液管理のポイント

 

ナトリウム濃度異常の輸液管理のポイントとしては、
低ナトリウム血症は病院で高頻度な電解質異常であること、
つまり、入院患者さんには発症の要因が高いということ、
また、低ナトリウム血症は、輸液が原因で起こる病態であるため、
低張液輸液を見直すこと、
高ナトリウム血症は、Na量ではなく、濃度が高値となるもので、
体内からの水分欠乏によって起こるものであることを把握するという点が挙げられます。

 

低ナトリウム血症

低ナトリウム血症の病態

 

低ナトリウム血症は、入院中の患者さんに、しばしば認められる電解質異常です。

 

血清中のNa濃度が正常値の下限である135mEq/l未満に低下した状態を、
低ナトリウム血症といいます。

 

低ナトリウム血症になると、全身倦怠感、頭痛、嘔気、嘔吐、精神症状などがみられます。

 

低ナトリウム血症の原因

 

低ナトリウム血症の原因は2つあります。

 

(1) 低張液の摂取

 

  Na摂取量低下(+K摂取量の相対的な過剰)
  低張液の過剰な摂取・投与(維持輸液のルーチン投与など)

 

(2) 相対的な尿張度の高値

 

  ADHの相対的・絶対的過剰
  腎不全による尿希釈障害
  利尿薬の使用

 

血管内脱水や、嘔吐、嘔気、手術、疼痛、ストレス、
鎮痛薬や向精神薬、抗がん薬などの薬剤投与などにより、
ADHの分泌が亢進している入院患者さんに対し、
尿張度よりも低調な輸液を実施していると、
(1)の低張液の摂取と、(2)の相対的な尿張度の高値が相まって、
低ナトリウム血症が発生する場合も多いです。

 

低ナトリウム血症の輸液療法の基本

 

高度の低ナトリウム血症の患者さんに対しては、
早急な治療が必要です。

 

・血清ナトリウム濃度異常に伴う症状(症候性/無症候性)があるか。

 

・現在も進行しているか。

 

・発症からどのくらい経過しているか(2日以内=急性)。

 

の3点を検証します。
この検証結果によって、輸液方法が決められます。

 

症候性または進行性の低ナトリウム血症には、
症状が軽快するまでは早期の改善が必要ですから、
高張食塩水などによる輸液が行われます。

 

慢性の場合には、急激な張度の改善を図ると、
浸透圧性脱髄症候群(ODS)を発症する恐れがあるため、
補正はゆっくり行い、その上限は一日8mEq/l程度にします。

 

浸透圧性脱髄症候群(ODS)とは、橋中心髄鞘融解に代表される
中枢性の脱髄疾患で、細胞内の水が一気に細胞外に出ることによって起こるものです。

 

緊急な対応を要さない低ナトリウム血症への治療については、
何よりも低張の輸液投与を行わないことです。

 

3号液などの低張液では、水の量は補正されますが、
電解質の喪失には対処することができません。

 

欠乏輸液や維持輸液を施工する場合は、
等張液や1号液のような、より高張な輸液へ切り替えていくことが必要です。

高ナトリウム血症の輸液管理

高ナトリウム血症の病態

 

高ナトリウム血症は、血清ナトリウム濃度150mEq/l以上の状態になるものです。

 

高ナトリウム血症の症状は、頭痛、嘔気、嘔吐、倦怠感、けいれん、意識障害など、
中枢神経症が認められます。

 

高ナトリウム血症の原因

 

高ナトリウム血症の殆どが、体内からの水分喪失といった要因で引き起こされます。

 

また、輸液ミス、原発性アルドステロン症などの疾患によって、
Naそのものが増加する場合もあります。

 

高ナトリウム血症の輸液療法の基本

 

高ナトリウム血症では、水欠乏量を推定し、
輸液製剤、ゆえ奇跡度を決め、ほかに電解質補正が必要かどうかをみていきます。

 

輸液製剤は、細胞外液量が減少している場合は生理食塩液、
正常量であれば5%ブドウ糖液を選択します。

 

細胞外液が増加しているときには、
ループ利尿薬を用います。

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