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心疾患(心不全)の時の輸液管理

心不全とは

 

心不全は、心筋の収縮力が低下することによって心拍出量が減少し、
ポンプ機能が低下して全身に血液を十分に供給できなくなる病気です。
これによって体液、特に細胞外液量が増加し、
体液量が過剰な状態になり、
浮腫や胸水、腹水など、体腔液貯留が起こります。

 

機能異常の部位によって、左心不全、右心不全に分けられ、
急性型が多い左心不全では、動脈系にうっ血が起こります。
右心不全では、殆どの場合が、静脈系にうっ血が起こります。

 

臨床所見による血行動態の評価法(Nohria-Stevnsonの分類)もあります。
この評価法によって、
どのタイプに分類されるかが分り、体内の状態を明確にすることができます。

 

心不全(体液量過剰)の輸液は、
病態を悪化させる場合があるため、慎重投与が原則です。

 

輸液を行うのは、「心拍出量低下」、「電解質異常」の時です。
輸液によって体液循環の維持と電解質低下(過剰)を防ぎます。

 

利尿薬は、電解質バランスを見ながら使用します。
排泄尿の張度や量に応じて、補充(輸液)が必要です。

 

心疾患(心不全)で使用される輸液製剤と治療薬

 

心不全の時には、等張液(細胞外液補充液/生理食塩水、
乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液)、
低張液(1号液、3号液)、水分輸液製剤(5%ブドウ糖液)、
利尿薬(フロセミドなどループ利尿薬、
ヒトナトリウム利尿ペプチド、ルバプタン)、
そのほか、強心薬や血管収縮薬を使用します。

 

心不全で体液量が過剰になる理由

 

心不全になると、静脈血が心臓に戻ることができなくなり、
静脈内に留まります。
すると、静脈圧が上昇します。

 

静脈圧が上昇すると、末梢の静水圧(静止した水中で働く圧力)が上昇し、
膠質浸透圧を超えることによって、
循環血漿量の維持・調節を行っているアルブミンの働きが低下します。

 

このことによって、血漿から間質へ水が移動し、
間質液が増え、浮腫や体腔液貯留を起こすことになります。

 

このようにして体液量が過剰な状態になってしまいます。

 

心疾患(心不全)の時の輸液療法の目的

 

体液量過剰の状態である心不全では、
輸液を行うと体液量の増加を招き、病態を悪化させてしまう恐れがあります。

 

そのため、基本的には積極的な輸液は行いません。

 

ですが、心拍出量の低下や、電解質異常が起きている場合は、
その改善のための輸液を行います。

 

また、薬剤や栄養を投与するための静脈ルートの確保という目的のために
輸液を行うこともあります。

 

心疾患(心不全)の治療で使用する輸液製剤

 

心拍出量低下や電解質異常を起こしている場合は、
低張液、等張液、水分輸液製剤を、
ナトリウム(Na)、及びカリウム(K)の量に注意しながら、
状況に応じて使用します。

 

心不全(体液量過剰)では、
INとOUTのバランスから投与愛用や量を検討することが大切です。

 

そのほかの治療薬としては、体液量過剰に対して
ループ利尿薬、ヒトナトリウム利尿ペプチド、ルパブタンなどの利尿薬、
急激な血圧低下などに対して強心薬、血管収縮薬を使用します。

 

心拍出量低下、循環不全を起こしている場合の輸液

 

心拍出量の低下は、循環血液量が減少していることによって起こります。

 

循環不全を起こしている場合は、等張液を選択し、
輸液投与によって静脈灌流量が増加することにより、
心拍出量の増加を期待します。

 

ですが、ある段階を超えると、
逆に心拍出量が低下傾向になるので気をつけなければなりません。

 

そのため、輸液は40ml/時程度の緩徐な速度からはじめ、
バイタルサインや身体所見をモニタリングしながら量を増減するようにします。

 

電解質(特にNa)に異常が生じている場合の輸液

 

心不全になると、抗利尿ホルモン(ADH)の分泌亢進によって
高張な尿が排泄されるので、
摂取・投与される液体が低張だと低ナトリウム血症を起こします。

 

体液量過剰で、かつ低ナトリウム血症である場合は、
尿量やNa、およびKの濃度を測定し、
INとOUTのバランスから輸液の量と組成を決定します。

 

主に3号液、または1号液などの製剤を、主に使用します。

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