看護記録の書き方のキホン

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脱毛

脱毛は、以下のようなことが要因となって起こります。

 

・がん化学療法を行っている。
・放射線療法を行っている。
・ホルモン療法を行っている。
・脱毛の発生頻度が高い抗がん剤を使っている。
・放射線の照射領域が頭部である(頭髪の脱毛の場合)。

 

細胞増殖時に影響を与える抗がん剤は、細胞分裂が著しく、
成長の早い毛母細胞にも影響しやすいので脱毛が起こります。

 

脱毛のタイミングとしては、最初の抗がん剤を投与してから2〜3週間後に始まり、
短期間で一度に抜けます。
頭髪の場合は抜け始めると数日で全体の7〜8割が抜け、
通常の抜け毛とは違って、ごっそり、まとまった抜け方をします。

 

がん化学療法での脱毛の発現率は、抗がん剤の種類や投与量によって違い、
多剤併用の場合は、全身に及ぶ可能性が高くなります。

 

注射薬よりも内服薬のほうが軽度の場合が多いのですが、
個人差が大きく、患者さんによって感受性が異なるので、
脱毛の発生頻度が少ないといわれている抗がん剤であっても、
殆ど抜けてしまう人もいます。

 

がん化学療法の影響を受ける毛根が頭皮の真皮内にあり、その部分に神経が集まっているので、
神経が刺激され、脱毛が始まる時期に、頭皮がピリピリ痛んだりすることがあります。
この痛みは脱毛が治まると、治ります。

 

発毛の時期も人によって異なりますが、一般的には抗がん剤治療が完了し、
2〜3ヶ月頃から発毛が再開します。
生え始めは、もとの毛髪と比べて髪の質や量、色が異なっていることがあります。
白髪やクセ毛になって生えてくる事も多いのですが、
1〜2年くらいでウィッグがなくても生活できるくらいのショートスタイルになります。

 

放射線療法でも、照射領域が脱毛します。
頭部領域では頭髪が脱毛し、その他の照射領域でも照射量が30〜35Gy以上で一般的な脱毛が、
40Gy以上では永久的な脱毛が生じる可能性があるといわれています。

 

脱毛には、効果的な予防法がありません。
不安を抱える患者さんの気持ちを少しでも軽減できるように、情報を提供します。
患者さんに伝えたい情報としては、脱毛の可能性、予測される脱毛の開始時期、
再育毛までの期間、容姿を整える方法などです。

 

情報を伝えるタイミングとしては、がん化学療法や放射線療法などの治療計画を立てるときが良いとされています。
ですが、患者さんの病状の理解を確認しながら、
身体的、精神的支援を行う事も大切です。

脱毛が出現しやすい抗がん剤の例

アルキル化薬: シクロホスファミド水和物、イホスファミドなど。
抗生物質: ドキソルビシン塩酸塩(アドリアマイシン)、エビルビシン塩酸塩、ビラルビシン、
      ミトキサントロン塩酸塩、プレオマイシン、ベプロマイシン硫酸塩など。
微小管阻害薬: ピンクリスチン硫酸塩、ビンデシン硫酸塩、ピノレルビン酒石酸塩、
        パクリタキセル、ドセタキセル水和物など。
その他: エトポシド、イリノテカン塩酸塩水和物、カルボプラチン、シスプラチンなど。

脱毛と抗がん剤

毛髪には、毛周期(ヘアサイクル)があります。

 

ヘアサイクルは、一定の周期で、「発毛」→「成長」→「脱毛」を繰り返していますが、
毛髪は成長が止まると、毛根部にある毛母細胞が分裂を止めて角化し始め、
完全に角化した毛根が表面に押し上げられて脱毛します。
そして、一定の期間が経過すると、再び新しい成長期の毛髪が発生します。
この流れを「ヘアサイクル」といいます。

 

抗がん剤や放射線は、細胞分裂が活発な毛母細胞に大きなダメージを与えます。
すると、正常なヘアサイクルが乱れ、成長期の毛髪が一定期間に満たないのに
成長を止めてしまうのです。
ですから、脱毛が起こります。

 

一般的に抗がん剤投与開始2〜3週間後、脱毛が始まり、数日で7〜8割の毛髪が抜けます。
1〜2ヶ月かけて抗がん剤が投与され、治療が終了し、
治療終了後2〜3ヶ月ほどで発毛が再開します。
治療終了後1〜2年で、ショートスタイルまで回復します。

治療前に髪の毛を切っておく

脱毛のショックをなるべく少なくするためには、
髪の毛を治療の前に短く切っておく事もおススメです。
長い髪に比べ、短い髪の毛のほうが脱毛の量が少なく感じられますし、
洗髪や頭皮のケアがしやすくなります。

 

毛髪が飛散しないように、キャップやスカーフを就寝時にかぶると、
抜け毛がその中にたまります。
自宅であれば、使い捨てのシャワーキャップを利用すると、
そのままゴミとして棄てられるので抜け毛を見ずに処理することができます。

 

抜けた毛髪は、粘着テープを使ってこまめに掃除するようにします。

 

脱毛が始まると、イライラしてしまって無理に髪の毛を抜いてしまう患者さんもいます。
ですが無理に抜くと、骨髄抑制時には出血し、免疫力が下がって感染を多し、
毛嚢炎になってしまうことがあります。

キャップ選びのポイント

キャップ選びのポイントとしては、「通気性」や「肌にやさしいもの」を選ぶことが重要です。

 

・通気性のあるキャップ。
・綿製品など、皮膚に優しい素材のキャップ。
・縫い目が皮膚にあたらないキャップ。
・保湿効果のあるキャップ。
などがおススメです。

ウィッグは治療開始前に準備

脱毛に備えて、患者さんに、キャップなど頭皮を守るものを用意しておいてもらいます。
また、ウィッグを治療開始前に準備しておくことで、安心感が生まれ、
治療に前向きになれるという患者さんもいます。

 

患者さんに、ウィッグの情報を提供し、相談に乗る事も大切です。
しかし、ウィッグは高価なものなので、全ての患者さんが使用することを選択するわけではありません。

 

ウィッグには、単なるボディーイメージを保つことや、頭皮の保護というだけでなく、
患者さんの脱毛に対する精神的な苦痛や不安を軽減する効果があります。

 

ウィッグを準備するタイミングとしては、
がん化学療法を始める前がおススメです。
自分の現在のヘアスタイルに合わせたり、ウィッグになれる時間ができます。

 

オーダーメイドだと出来上がるまでに10日以上かかるので、
購入時には注意が必要です。

患者さんが選びやすいよう情報を提供する

脱毛に使用するのであれば、医療用の専用ウィッグが適していますが、
ウィッグの材質には人毛、人工毛(合成繊維)、ミックス毛の3種類があります。

 

ウィッグにかかる費用は、フルオーダーになると30〜80万円、
既製品であれば1〜10万円ほどです。
おしゃれ用ウィッグでは、自分の髪の毛があることを前提にしているので、
髪のボリュームが少なく、地肌が見えてしまうことがあります。
脱毛への対応として利用するのであれば、やはり医療用のウィッグが適します。

 

ウィッグを使用する期間は、投与開始から1年半、もしくは2年間ほどです。
医療用ウィッグは効果なんで、患者さんの中には帽子を利用している人もいます。
患者さんの経済状況や生活背景も考慮しながらアドバイスをし、相談にのります。

ウィッグの種類と特徴

・人毛 

 

長所: 自然に近く、カットやパーマ、ヘアダイができます。
    ドライヤーセットができます。
    耐久性に優れています。

 

短所: スタイルのキープが難しいです。
    手入れに手間がかかり、乾燥など外的要因で痛むことがあります。

 

・人工毛

 

長所: セットが簡単で崩れにくいです。
    人毛に比べて軽量です。

 

短所: パーマ、ヘアダイ、ドライヤーは不可です。
    静電気を帯びやすく、熱や摩擦に弱いです。

 

・ミックス毛

 

長所: 人工毛に比べて見た目が自然です。
    カットでアレンジができます。

 

短所: パーマ、ヘアダイ、ドライヤーが不可です。
    人毛部分が退色しやすいです。

頭髪以外の脱毛の対処

頭髪だけでなく、脱毛はまつげ、眉毛、鼻毛、陰毛など全身に及びます。

 

・まゆげ

 

まゆげは抜けてしまうと、顔の表情にかなり影響する部分です。
化粧品を使って描くときには、前もって「まゆ型」をとっておくと
復元が簡単になります。
市販のまゆスケールなどを活用することもできます。

 

・まつ毛

 

まつげは、抜けてしまうと目にゴミが入りやすくなります。
外出時にはサングラスやめがね、ゴーグルで目を保護するように指導します。
化粧用のツケマツゲを利用する事もおススメです。

 

・鼻毛

 

鼻毛は抜けてしまうと、乾燥した冬場には鼻水が出やすくなります。
また、乾燥によって鼻血が出る事もあるので、
日頃からマスクをしたり、部屋を保湿したり、
鼻に保湿剤を塗るなどの対処法が必要です。

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