看護記録の書き方のキホン

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緩和ケア

緩和ケアとは、ガンに伴って生じるからだの痛みや心の痛みを和らげ、
生活やその人らしさを大切にするという考え方です。
それ故、緩和ケアでは、医学的な側面に限らず、様々な場面で幅広い対応が必要になります。
緩和ケアによって患者さんやその家族が、
抱えている様々な苦しみが少しでも和らげることができることを目指したいものです。

 

緩和ケアにおける注意点は、
終末期における「オピオイド」の使用方法、
「死」を口にする患者さんへの対応、
「セデーション(薬を使い、意図的に意識を落とすことで苦痛を感じなくさせる治療)」を実施する際の対応など様々です。

オピオイドの使用と眠気に対するケア

病状が進行した終末期になっても、オピオイドは適切に使いこなすことが大切です。
オピオイドを「怖い薬」と決め付けず、副作用が強く出現する可能性もありますが、
使用の際の注意点を踏まえ、適切に使うことは可能です。

レスキュードーズの使用による投与量を見直す

終末期では病状の進行に伴って肝機能や腎機能が低下し、全身衰弱状態になってきます。
このことにより、オピオイドの副作用(眠気・呼吸抑制など)が強く出現する可能性もあります。
眠気や呼吸抑制などの副作用が強く出ると、
オピオイドをレスキュードーズで繰り返し使用することを躊躇させてしまう事もあります。
既にオピオイドを使用している患者さんの痛みが増強した場合は、
レスキュードーズの使用状況により、投与量や薬物の種類を見直すなど、
終末期のオピオイドの使用の仕方には様々な注意を必要とします。

オピオイド以外の眠気の原因の識別

終末期になると、眠気を生じる原因が多くなります。
ですから、眠気の鑑別を行わずに、眠気の原因がオピオイドであると決め付けてしまうことは避け、
オピオイド以外の眠気の原因を鑑別し、原因治療が可能なものに対しては治療を行うことが必要です。

眠気の原因
  • 薬物性による眠気:睡眠薬や抗精神病薬、抗うつ薬、抗痙攣約、抗不安薬、抗ヒスタミン薬、オピオイドなどの薬物が眠気の原因になります。
  • 代謝性による眠気:低ナトリウム血症や高カルシウム血症、肝不全、腎不全、血糖異常、脱脂、低酸素血症などの代謝異常が眠気の原因になります。
  • 中枢神経障害による眠気:脳転移や認知症、髄膜炎などが眠気の原因になります。
  • 体力消耗状態による眠気:放射線治療や化学療法、悪液質など、体力が消耗していると眠気の原因になります。
  • その他の眠気の原因:睡眠障害や睡眠時無呼吸症候群、うつ病、せん妄、低血圧、貧血、感染症などが眠気の原因になります。

疼痛に対するアセスメント

オピオイドが疼痛に対して適切な投与量で使用されているかを常にアセスメントすることはとても大切です。

 

例えば、オピオイドが効かない痛み(神経障害性疼痛など)に対してオピオイドを増量したり、
レスキュードーズを頻繁に使用すると過量投与になります。
過量投与になれば当然眠気や呼吸抑制などの副作用が強く出現します。

 

オピオイドが効きにくい神経障害性疼痛の痛みに対しては、
鎮痛補助薬の使用を検討する必要があり、
経口モルヒネで120mg/日を超えた時点が鎮痛補助薬の使用開始の目安になっています。

 

そして、鎮痛効果が得られている場合には、オピオイドを減量します。

眠気を訴える患者さんへの対処

オピオイドの強い副作用による眠気を訴えている患者さんに対しては、
呼吸抑制が出現する可能性があるため、早期の対処が必要です。

 

オピオイドによる眠気は、呼吸抑制の前駆症状といわれていますが、
オピオイドの投与を原則に従って投与していれば、呼吸抑制が出現する可能性は低くなります。

 

モルヒネはオピオイドの一種ですが、モルヒネは腎機能障害によってモルヒネ代謝産物が蓄積し、
眠気や呼吸抑制の原因になります。
ですから、それまでにモルヒネの投与に問題が無かった患者さんであっても、
終末期に漫然とモルヒネを使用することで過量投与になる可能性があるので注意が必要です。

 

モルヒネを使用している患者さんで、腎機能障害がある場合は、
投与経路を経口投与から持続静注や持続皮下注に変更したり、
腎機能の影響を受けにくいオキシコドンやフェンタニルに切り替えるなど
モルヒネ代謝産物の生成を抑えるための対応もできます。

 

また、眠気を訴える患者さんに対してはもちろん、
オピオイドを使用している患者さんの呼吸回数を定期的に観察する事でも
呼吸抑制への早期の対処が可能です。
目安としては、「呼吸回数10回/分未満で刺激を与えても覚醒しない場合」に呼吸抑制が見られると判断し、
オピオイドを減量したり、中止したりすることを考慮します。

 

モルヒネによる呼吸抑制が起きる条件とは
  1. モルヒネの皮下、筋肉内、静脈内への急激な注射をすると、モルヒネの血中濃度が急激に上昇し呼吸抑制が起きる可能性があります。
  2. モルヒネを過量投与すると、呼吸抑制が起きる可能性があります。
  3. 肝機能の低下や、腎機能の低下が見られるときは、モルヒネの減量を行わないと呼吸抑制が起きる可能性があります。
  4. モルヒネの投与中に、神経ブロックや放射線治療によって除痛が得られた場合に呼吸抑制が起きる可能性があります。

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