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胸腔ドレーン管理

胸腔ドレナージとは、チェストチューブと言う管を胸腔に挿入して、
胸腔に貯まっている空気や水、血液、滲出液などを身体の外に排出させる目的で行われる治療のことです。
胸腔ドレナージを行うことによって、肺の再膨張や虚脱を防止することができます。
この胸腔ドレーンの管理をきちんとしないと、
術後の経過や予後に大ききな影響を及ぼすことから、
胸腔ドレーンの適応やメカニズムを充分に把握する必要があります。

陰圧をかける理由とは?

胸腔ドレーン管理では「陰圧をかけること」が必要です。
それは、胸腔内圧が陽圧になると、たまった空気や体液などがドレナージされず、
胸腔内を一定の陰圧に保つことができなくなり肺の膨張不全が起きます。
また、肺瘻がある場合は胸腔内は陽圧になり、緊張性気胸を起こす危険性が高いです。

 

このような場合で、陰圧をかけるように指示されます。
−10〜20cmH2Oが一般的ですが、
圧の設定は患者さんそれぞれの症例によって異なりますから、
再設定の確認が必要です。

緊張性気胸の危険性について

生理的に胸腔内は陰圧状態が維持されています。
低圧持続吸引器は、胸腔内を一定の陰圧に保つことができ、
胸腔内に貯まった空気や体液、血液を排液するために使用します。

 

そして、気胸に対して、低圧持続吸引によって胸腔内の空気を排出し、
胸腔内を陰圧に維持することによって肺の受動陰圧が高まり肺の膨張を助けることができます。

 

陰圧がかかっていない場合、
胸腔内に貯まった空気や血液、体液などが排出(ドレナージ)されず、
胸腔内の陰圧を維持することができずに肺の膨張を妨げます。

 

肺瘻がある場合には、低圧持続吸引器の陰圧がかかっていなければ
胸腔内に漏れ出した空気が排出(ドレナージ)されず、
胸腔内は陽圧になります。
その結果、胸腔内に貯まった空気によって対側の肺や心臓が圧迫され、
血圧が低下したりショック状態になる緊張性気胸の状態になる危険性があります。

 

 

気胸とは:肺を包んでいる胸膜に穴が開き、急性の胸の痛みを伴う呼吸困難を起こす病気です。

 

緊張性気胸とは:空気の漏れがひどいと、肺が反対側に圧迫され心臓や血管までが圧迫されます。その状態を緊張性気胸といい、チアノーゼや呼吸困難、ショックなどの症状が起き、危険な状態になります。

 

肺瘻とは:肺に穴が開き、肺から胸腔内に空気が漏れる症状です。

最低陰圧での持続吸引

持続吸引を続けることにより、逆に肺瘻を広げてしまう可能性もあります。
そして、大きな肺瘻の場合は持続吸引を行っても肺の膨張が得られないばかりではなく
健常な肺への酸素供給が阻害される事もあります。
健常な肺への酸素供給が阻害されれば、低酸素血症になりますから、
持続吸引をする場合には、肺の膨張が得られると考えられる最低の陰圧で行います。

 

一般的な有効的最低陰圧とは-10〜-20cmH20とされています。

 

ですが、患者さんの状態や症状によって圧設定は異なるため、
陰圧をかけるように指示された場合は、設定圧の確認を必要とします。

 

3連ボトルシステムでは、持続吸引圧の調整部となっているのは左端です。
水封部と間違えないように注意して行ってください。
また、水封部へ水を入れることを忘れてしまうことによっておきるハプニングが多く報告されています。
重大事故に至らなかったとしても一歩間違えばその可能性があるため、
準備をするときには、持続吸引圧調整部と、水封部の2箇所に蒸留水が入っていることを必ず確認してください。

持続吸引を行うタイミングとは

ACCP(米国胸部外科学会)によると持続吸引を行うかどうかの判断は、
「ドレナージ後に肺が直ちに再膨張しなければ適応すべき」としています。
さらに、「ドレナージ直後より、全症例で持続吸引を行うのも一つの方法である」ともしています。

 

BTS(英国胸部疾患学会)ガイドラインでは、「少なくとも挿入後48時間は水封で管理し、
48時間を経過してもなお、肺瘻が持続、或いは肺の膨張を得られない場合に持続吸引すべき」としています。
(水封で管理とは、持続吸引器による陰圧をかけずに水で封をすることです)

 

48時間と言う時間は、再膨張性肺水腫の発症を防止する目的によって定められている時間です。
つまり、ドレナージ直後から持続吸引を行うことには、
再膨張性肺水腫を発症させるリスクが高くなります。
このため、直後に持続吸引を行うのであれば、
特に泡沫状の血性痰や喘鳴、呼吸困難や低酸素血症などの症状が出ていないかを
よく観察することが必要になります。

 

再膨張性肺水腫とは: 胸水や気胸、血胸などに対して胸腔ドレナージを行った際、
虚脱していた肺の再膨張が一気に起きることによって
肺の血流の再灌流や血管透過性亢進が発症し、その結果として起きる肺水腫のことです。
肺の虚脱時間が長く、虚脱率が大きいほど発症しやすいため、注意が必要で、
高度な肺水腫の時には、呼吸困難やショックをきたし死亡する場合もあります。
よって、直後に胸腔ドレナージを行う場合は、患者さんの観察が重要です。

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