吸引を行う間隔
吸引をルチーンで行っている施設もあるようですが、
気管吸引は患者さんにとって苦痛を伴うものです。
患者さんの気持ちを考えると、
何時間ごとに…と言うルチーンでは気持ちの負担にもなりそうです。
ですから、吸引しなければならないタイミングをアセスメントし
ルチーンで行うべきものではなく、必要最小限で実施する必要があります。
吸引を行う前に考えること
吸引を行う前には、吸引の必要性を考えます。
また、吸引を行う時にも患者さんの状態について観察します。
(吸引の必要性)
@聴診・触診・視診をして気道分泌物の存在があるかどうかを確認する。
ASpO2の値をみて、酸素化の低下を観察。
B気道内圧の上昇
C換気量の低下
D咳嗽
E人工呼吸器グラフィックの異常
(吸引を行う時に考えること)
- 副雑音が本当に痰の影響なのかどうかを確認します。
上気道閉塞による呼吸音への影響がある場合もあるので、痰があるか動かを確認します。
- 気管分岐部より口元側に痰がないと吸引では取れません。
痰がありそうな部位を確認します。
- 吸引を頻繁に行いすぎることは患者さんに苦痛を与えます。
また、体力を消耗しますし、吸引カテーテルが咽頭以下の粘膜に影響を与え、炎症や浮腫を起こすことがあります。
結果として気道狭窄を引き起こす可能性もあるので、これまでの吸引頻度を考えます。 - 咳嗽はできるかどうか。
- 深呼吸ができるかどうか。
意思疎通が可能な場合の吸引
人工気道のない患者さん、もしくは人工気道がある患者さんで
意思疎通が可能な場合、痰の存在を確認したらその痰を自分で喀出できるかどうかを考えます。
自分で咳嗽ができるのであれば、咳嗽を促し、喀痰を自分で行ってもらいます。
この方法で喀痰するのが、患者さんにとって最も苦痛が少なく、合併症のリスクも最小限にすることができます。
咳嗽ができない患者さんは、なぜ咳嗽ができないのかを考えます。
吸引でなければ気道浄化ができない状態であれば吸引を行います。
意思疎通ができる場合の排痰援助の行い方
- 痰がある場合、自分で痰を出すことができるか、有効な咳ができるかを観察します。
- 咳ができる場合は、咳によって喀痰してもらいます。
自分の咳で喀痰できない場合は、咳嗽力が低下しているのか、口腔内の機能によるものなのか、淡の粘性や乾燥によるものなのかを確認し、加湿や身体水分バランスを調整し、問題があると思われる部分の解決を図ります。
- 自分で咳ができない場合は咳嗽訓練をしたり、吸引の解除を行います。
- 必要な場合に限り吸引を行い、喀痰できればティッシュペーパーで取り除きます。
意思疎通ができない場合の吸引
痰が吸引できる部位にない場合に吸引をしても、
患者さんの苦痛の原因を作るだけになってしまうため、
まず、吸引が必要なのかどうかをもう一度考え、
さらに、吸引によって痰が除去できる状況なのかを考えなければなりません。
痰によって酸素化が阻害されている場合、
あるいは酸素化が阻害されることが予想される場合で、
患者さんと意思疎通ができない場合には、体位を変えたりするなどして排痰援助を考えます。
意思疎通ができない場合の排痰援助の行い方
- 痰が吸引できる部位にあるかどうかを確認します。
- 痰が吸引できる部位にあれば吸引します
痰が吸引できない部位にあれば、痰が移動するように援助します(重力によって痰が移動できるよう体位を整えます)。
痰が移動しない場合は、痰の性状を考慮し、加湿や身体水分バランスを調整するなど対処します。
それでも状況が改善されず、酸素化に影響する、或いは影響する可能性があると考えられる場合には医師に相談し、気管支鏡の必要性を検討します。
体位を整え、ドレナージ体位をとった後、吸引が必要な状況になれば吸引します。 - 痰が取れれば、淡が取れたことによって状態が改善したかどうかを確認します。
そして、まだ吸引が必要な状況であれば、再び吸引しますが、頻繁に吸引すれば低酸素や体力消耗、苦痛など患者さんに負担を与えるため、連続した吸引が必要であるかどうかを充分に検討します。
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