看護記録の書き方のキホン

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オピオイドを使用しても体動時に痛みが強い場合

がん患者さんの痛みは、全人的な痛みです。
オピオイドですべての痛みが消える訳ではありません。
ですから、看護師による適切な痛みのアセスメントとチームでの介入が不可欠で、
患者さんと共に日常生活での目標を設定することが大切です。

痛みに対して広い視野でアセスメントし介入する
オピオイドを開始しても痛みが残っている患者さんもいます。

その痛みの原因は様々なものが考えられますが、
患者さんが痛みを訴える時は実際よりも弱く表現されることが多いということを踏まえておく必要があります。
元気そうに装っていても、実は耐え難い痛みを感じている患者さんも多いのです。
ですから、広い視野でアセスメントをし、介入していくことが必要です。
さらに、痛みの治療に対しては、チームで関わっていくことが不可欠です。
痛みによって患者さんの日常生活がどの程度制限されているのかを考え、
看護師は日常生活の視点からアセスメントしていく必要があります。

患者さんが感じている痛みを確認する

痛みは患者さんだけが感じる感覚です。
医療従事者には想像ができるものではないので、
その痛みを知らなければ疼痛緩和のケアはできません。
そして、痛みの訴えは患者さん個々によって異なります。
表現の方法も感じ方も、それぞれの患者さんによって異なりますし、
痛みを聞く側(医療従事者)の感情によっても伝わり方が異なります。
一般的に、治療中の患者さんは、症状の緩和には興味がないといわれています。
自分の痛みを表現する語彙をほとんど持たない患者さんもいますし、
看護師などに対して色々訴えることを良くないと思い込んでいる患者さんも多いため、
無意識に痛みを隠そうとしたり、痛みがあるのにも関わらず「大丈夫」と言ったりすることもあります。
このような患者さんの痛みを把握することは看護師の重要な役割の一つです。
痛みの表現やアセスメントに関して、疼痛評価スケールやデルマトームなどのツールも開発されているので、
このようなツールをウマく活用して、患者さんの痛みに対して確認することが大切です。

オピオイドが効かない痛みが見られる場合の看護師の役割

  • 患者さんが感じている痛みを確認します。
  • オピオイドが効く痛みなのかを判断します。

がんの痛みは、オピオイドが効きやすい侵害受容性疼痛と、
オピオイドが効きにくい神経障害性疼痛に分類されるのが一般的です。
オピオイドの反応性はそれぞれの痛みによって異なるため、
オピオイド、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)、鎮痛補助薬を使用しながら対処していきます。

 

痛みによるオピオイドの反応性
よく反応する→内臓転移による痛み・軟部組織への浸潤による痛み

ある程度反応する→骨転移による痛み・神経圧迫による痛み・頭蓋内圧亢進による痛み
反応しにくい→筋痙縮痛、交感神経が関与した痛み、痛覚求心路遮断による痛み

 

 

骨転移の場合は、オピオイドよりもNSAIDsのほうが有効な場合が多くあり、
放射線治療やビスホスホネート製剤もよく効きます。
最近は、多発骨転移の治療として、ストロンチウム-89(89Sr)の治療が行われる事も多くあります。

 

鎮痛補助薬の使用については、緩和ケアチームなどの多職種で検討する必要があり、
薬剤としては、抗うつ薬や抗痙攣薬、抗臥せ脈薬、ステロイド薬などが用いられます。

 

看護師は鎮痛補助薬の効果が見られているかどうかを、
正しい情報を患者さん自身から得ることが必要です。

 

  • オピオイドの投与量が適切なのかどうかを検討します。

オピオイドの用量不足が考えられるのは、
オピオイドによる除痛が不十分な場合で、且つ眠気がない場合です。

 

血中濃度が変化する要因がないかどうか(腎臓機能の低下・肝臓機能の低下・腹水・胸水・便秘など)、
オピオイドによる吸収不全がないかどうか(嘔吐・下痢・消化管狭窄や閉塞など)をアセスメントして判断します。

 

その上で、投薬経路の変更やオピオイドの増量を検討していきます。

 

  • オピオイドの副作用に対する対策について十分であるかどうかを検討します。

オピオイドの副作用対策が不十分だと、患者さんがオピオイド治療そのものを拒否してしまうことがあります。
特に治療をしているのにもかかわらず不快な症状が出ると言うことは、
患者さんにとって耐え難いものです。
ですから、オピオイドを開始するときには、予防的な治療を開始し、副作用に対する対策を万全にすることが必要です。

 

看護師の役割は、医師と協働してオピオイドの効果と共に副作用の観察を行い、
適切な情報を医師に提供することです。

 

  • 患者さんの心理や社会、スピリチュアルな痛みをアセスメントします。

がん患者さんの痛みは、身体的・心理的・社会的・スピリチュアルな痛み「トータルペイン」ですから、
全人的なアセスメントを行う必要があり、そうしなければ患者さンの痛みの軽減を図ることはできません。

 

さらに、患者さんは、痛みがあることによって、或いは痛み止めを使っているにも関わらずそれが効かないことによって
病状が悪化したのではないか、病状が進行したのではないかと考えてしまうことがあり、
医師や看護師にその痛みを隠そうとしたり、不安になったりする事もあります。
このような患者さんの心理状態を理解しながら、適切なアセスメントを行う必要があります。

 

  • 特定の時間や体動時の痛みに対しては、レスキュードーズのを積極的に使用したり、理学療法士の介入を検討します。

骨転移による体動時の痛みは除痛が難しいのが一般的です。

 

ですから、NSAIDsやステロイド薬、ビスホスホネート製剤等を使用しながら有効性を確認し、活用していきます。、
体動前のレスキュードーズを効果的に使用(予定される体動の20〜30分前にレスキュードーズを使用)し、
痛みの程度を評価していきます。

 

骨転移部に負担の少ない動作や安全で安楽な動作に関しては、
理学療法士に相談して連携しながらリハビリテーションを取り入れ、
患者さんと共に日常生活動作の拡大に関しても現実的で実現可能な目標を設定する事も大切です。
それによって、患者さんの痛みのマネジメントをすることができます。

 

  • 骨転移や体動時の突出痛に対しては、放射線科の医師や麻酔科の医師の協力が不可欠になるため、緩和ケアチームへのコンサルテーションや医師間の調整を行います。

骨転移や突然現れる強い痛みがみられた際には、多職種との連携を図ります。

 

現在、院内に緩和ケアチームを設置する医療機関が増えていますが、
院内に緩和ケアチームを設置していない場合であっても、
がん診療連携拠点病院では院外の患者さんに対しても広く緩和ケアの窓口を開いています。

 

多職種で構成される緩和ケアチームは、
患者さんが抱える様々な問題に対応しているため、
困ったことが起きたら緩和ケアチームに相談できると言う機能を活用し、ケアにあたります。

 

緩和ケアチームの役割
麻酔科医:神経ブロック、硬膜外持続鎮痛法を実施します。

放射線科医:緩和的放射線治療を行います。
精神科医:患者さんのメンタル的な部分をフォローしたり、患者さんやその家族の精神的な悩みの相談にのり、解決します。
整形外科部:骨転移への緩和、骨セメント注入を行います。
看護師:患者さんが安全で安楽な療養生活を送ることができるよう、緩和ケアチームの連携を図りながら看護を実践します。
薬剤師:患者さんやその家族に薬剤に関する情報を提携し、使用薬剤のコンプライアンスをチェックします。
理学療法士:緩和リハビリテーションの指導をします。
医療ソーシャルワーカー(MSW):患者さんやその家族が療養生活において負う社会的や経済的な問題を解決できるように、制度の情報を提供したり助言をしたりします。

レスキュードーズとは
レスキュードーズとは、基本処方では抑えられない突発的な痛みに対して、

追加的に使用する鎮痛薬のことを言います。
つまり、目的は突発的に発生する痛みを緩和することで、
効果の出現に時間を要するものはレスキューの役割を果たしませんから、
即効性製剤を使用します。
レスキューを繰り返し行っても除痛できない場合は、投与量の不足ではなく、その薬剤では除痛できない痛みの性質である事も考えられるので、痛みの再評価を行う事も必要になります。

 

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