輸液管理(IVH)
輸液管理(IVH・中心静脈栄養)は、現在の医療に置いて欠かすことが出来ない治療です。
そして、輸液管理は、日常的な看護の一環として位置づけられています。
輸液の目的は、「体液を一定に維持すること」、「循環血漿量の回復」、
「タンパクなどの栄養補給」、「薬剤の投与」と言うようなものがありますが、
IVHでは薬剤が直接循環器系に入りますから作用が早く、
中心静脈カテーテルの挿入時や管理の方法によって、血流感染症などの合併症を起こし、
死に至るような重篤症状を引き起こすこともあるため細心の注意を払う必要があります。
実際、輸液に関して「ヒヤリとなった、ハッとした」と言うような現場での事例は多くあります。
中心静脈カテーテルの挿入時、そして管理には、無菌操作を徹底し、感染を防がなければなりません。
中心静脈カテーテル挿入部の消毒に推奨される方法とは
カテーテル感染の観点から、中心静脈カテーテル挿入部の消毒に推奨される方法は、
『挿入部位の中心から外に向かって0.5%以上の「クロルヘキシジンアルコール」で遠心状に広範囲に2回以上消毒すること』とされています。
消毒薬の選択
2002年の血管内カテーテル関連感染防止CDCガイドラインによると、
中心静脈カテーテル挿入部の消毒薬について「2%のクロルヘキシジン」が望ましいが、
「ヨード或いは70%アルコールを使用しても差し支えない」としていました。
ですが、2011年のガイドラインでは、
「0.5%以上のクロルヘキシジンアルコール」を推奨しています。
そして、クロルヘキシジンが使えない患者さんに対しては、
「ヨード或いは70%アルコールで代用」としています。
クロルヘキシジンと言う薬剤は、皮膚に残留し、抗菌作用を持続的に発揮する消毒薬です。
ですが、日本で皮膚に使用することができるのは、濃度が0.5〜1%となっていて、生後2ヶ月未満の乳児においては、クロルヘキシジン製剤についてCDCガイドラインでは勧告がありません。
日本では、10%ポビドンヨードを未だに繁用しています。
ポビドンヨードはウイルスや抗酸菌に有効で、広い抗微生物スペクトルを持つ消毒薬として長く使われていますが、
十分な時間が経たなければ殺菌効果が得られないことや、
使用の際には必ず消毒後2分間、或いは乾燥していない状態で2分待ち、次の処置に移らなければならないなどの不便さがあります。
中心静脈カテーテル挿入時の準備
中心静脈カテーテル(IVH)を行う際には、まず準備が必要です。
その準備とは、第一に「消毒」です。
消毒効果を高めるために、
シャワーが可能な患者さんには挿入直前にシャワー浴を実施してもらい
シャワー浴が難しい患者さんは清拭を行って充分に汚れを取り除きます。
そして、挿入部位の剃毛は手術と同様、皮膚の表面に細かな傷が付き、
逆に感染のリスクが高まるため行いません。
マキシマルバリア・プリコーションを実施する
マキシマルバリア・プリコーション(maximal sterile barrier precautions)とは、
高度無菌的遮断予防策のことです。
患者さんへの感染を防ぐために、医療従事者が徹底すべき事だといえます。
医療従事者は手指衛生はもちろん、サージカルキャップ、サージカルマスク、滅菌ガウン、滅菌手袋を装着し、
患者さんには全身を覆う大きな滅菌ドレープを使用し、無菌操作で中心静脈カテーテルを挿入します。
マキシマルバリア・プリコーションを行わないで中心静脈カテーテルを行った場合の感染リスクは、
行った場合の6倍にも高まると言われています。
そのため、マキシマルバリア・プリコーションセットを導入して、その必要性を意識付け、
使用時には速やかに準備できる態勢を整えること、医師への啓発活動を行い、
定期的に実施率を調査するなどの対策がとられています。
留置中の消毒法保
留置中の消毒は以下のように行います。
- 被覆材を交換する際は、手指衛生(手洗いと消毒)を行い、滅菌手袋を着用します。
- 被覆材を剥がして挿入部の汚染された箇所を清潔なガーゼやアルコールで清拭します。
- 挿入部を中心として外側に向かって被覆材よりも広範囲に2回以上消毒し、カテーテルも消毒します。
- 被覆材を貼付は、挿入部が観察できるようにします。
- 被覆材には、一般的に透明または半透過性の滅菌ドレッシング材を使用します。
ですが、滲出液が多い場合には、滅菌ガーゼを使用します。
(*ドレッシング材の交換頻度が多いと感染のリスクが高まります。
水に濡れてしまった時など、感染のリスクがある場合に必要に応じて取替えをします。)
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