看護記録の書き方のキホン

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食事や点滴は採血の検査値に影響します!

食事や点滴は、採血の検査値に影響します。
血糖値や電気質など、様々な検査値が変化するため、
起床時の身体の基礎代謝が最も安定している時に採血を行うのが原則です。

 

外来患者さんの血液検査をするときには、
このような理由から、「食事を摂らずに病院へきてくださいね」と伝えます。

採血を起床時に行う理由:変動因子の影響を少なくする

原則として採血を起床時に行う理由は、
体の基礎代謝が最も安定している状態だからです。

 

採血を行う目的は、現状を知ることです。

 

現状を知ることによって治療やケアの方向性を検討したり評価したりします。

 

例えば、血糖値を調べるための採血では、食前に行うのが一般的です。
最も食べてない時間が長い朝食前に採血をし、そのデータを見ることで、
最も低いはずの値を調べます。
その、最も低いはずの値が高ければ、一日中血糖値が高い状態であろうと考えることができます。

 

私たちの体の中のホルモンバランスや酵素は、
運動や食事、服薬などによって一日中変動し、基礎代謝に影響しますから、
これらの変動因子が影響しない起床後に行うのが最も正確な検査値が得られます。

採血を起床時に行う理由:測定する時刻を一定にする

同じ患者さんのデータであっても、
測定する時刻にばらつきがないほうがデータが比較しやすく有意義です。

 

日内変動や運動の影響によって、
絶食であったとしても採血した検査値は変動することがあります。

 

ですから、起床時の体の基礎代謝が安定しているとき、
そして食事や点滴を行う前に、
同じ条件下で同じ時刻に空腹時採血を行って現状のデータを検査します。

データの背景を知ることが大切

採血し、血液検査データをみることは、体の反応をみることでもあります。

 

データからは、酵素や成分が体のどの部分で産生されたのか、そして消費されていくのか、
或いは破壊されていくのかなどを理解することで、
食事や運動、服薬の影響があるかどうかを知ることができます。

 

このようなことから、原則として起床時の空腹時に採血を行うことが分ります。

 

また、あえて食後に採血を行う場合もあります。

 

ですから、その採血はどのような目的で、
どのようなことを評価したり検討したりするために必要な検査なのかを把握して行うことが大切です。

血液検査項目と食事や運動による検査値の変化について

7.血液検査項目と食事や運動による検査値の変化について(1262)

 

RBC(赤血球数):赤血球は食事を食べたり運動をすると上昇します。そのため起床時に採血します。

 

Hb(ヘモグロビン):ヘモグロビンは、赤血球は食事を食べたり運動をすると上昇します。そのため起床時に採血します。

 

WBC(白血球数):白血球は食後に上昇します。ですが異常なほどの上昇は見られません。

 

Plt(血小板):血小板は、食事をしたり運動をすることでの影響は受けません。骨髄機能や免疫機能に由来しているからです。

 

PT(プロトロンビン時間<活性>)、TT(トロンビン時間)、
APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)、
フィブリノゲン、FDP(フィブリン・フィブリノゲン分解産物)、
Dダイマー、ATV(アンチトロンビンV):これらの成分は食事や運動には影響されません。
これらのうちほとんどの凝固因子が肝臓で生成され、炎症や出血などの生体反応によって増減するからです。
ですが、抗凝固作用の薬物に影響されるため、採血時ヘパリンロックした血管確保部位からの採血はできません。
採血の手技によって値が変動しやすいので気をつけなければいけません。

 

TP(総たんぱく質):総たんぱく質は、成分のほとんどがALBとグロブリンで、運動によって値が高くなります。
そのため、起床時に採血を行います。

 

CRP(C反応性蛋白):C反応性蛋白は、食事をしたり運動をすることでの影響は受けません。
微生物感染、細胞や組織の破壊、手術や外傷、免疫反応などにより炎症が起きていると血中に増加する物質です。

 

ALB(アルブミン):アルブミンは運動をすると値が上がるので、起床時に採血を行います。

 

NH3(アンモニア):アンモニアは、運動をしたりたんぱく質を摂取すると値が上昇するため、起床時に採血を行います。

 

Cre(クレアチニン):クレアチニンは、食後上昇するため食前に採血を行います。
食事摂取を行っている患者さんは、値は日内変動します。

 

BUN(血中尿素窒素):血中尿素窒素は、起床時に採血を行います。
肝臓で蛋白分解がされる際、アンモニアが生成され、最終産物としてBUN(血中尿素窒素)が産生されます。
このため、高蛋白食で値は上昇し、日中は高くなり、夜間は低くなります。

 

ALT(アラニンミノトランスファラーゼ):アラニナミノトランスフェラーゼは、食事をしたり運動をすることでの影響はほとんど受けません。
ALTは、肝細胞内に存在する酵素です。そのため、肝細胞の破壊により血中に流出し値が上がります。

 

AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ):アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼは、運動をすると上昇するため、起床時に採血を行います。
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼは、肝細胞内、筋細胞内、赤血球内に存在する酵素なので、食事を食べて値が変わるということはありません。

 

γ-GTP(ガンマグルタミルトランスペプチターゼ):ガンマグルタミルトランスペプチターゼは、食事をしたり運動をすることでの影響は受けません。
日内変動もありませんが、飲酒や薬物によって上昇する物質です。

 

LDH(乳酸脱水素酵素):乳酸脱水素酵素は、運動や飲酒で上昇するため、起床時に採血を行います。
LDHは、私たちの体内すべての細胞に存在する酵素です。食事の影響は受けません。

 

AMY(アミラーゼ):アミラーゼは、運動による影響もなく、健康な人では食事を食べても値に影響はありません。

 

ALP(アルカリホスファターゼ):アルカリホスファターゼの採血は食前に行います。
血液型が、B型とO型の患者さんの場合、食後に生理的な上昇を認めるためです。

 

CPK(クレアチンホスホキナーゼ):クレアチンホスホキナーゼの値は食事には影響されません。
ですが、心筋や骨格筋の障害によって上昇する物質です。
そのため、筋肉注射や手術後、癲癇(てんかん)後、激しい運動の後などは上昇します。

 

ChE(コリンエステラーゼ):コリンエステラーゼは、肝臓で合成される蛋白で食前に採血を行います。
産生が蛋白合成や脂質代謝の亢進を反映するためです。

 

間接ビリルビン、直接ビリルビン:間接ビリルビンも直接ビリルビンも、どちらも食前に採血を行います。
ヘモグロビンが分解された代謝産物がビリルビンです。
間接ビリルビンは、肝臓で代謝される前のビリルビンで、直接ビリルビンは、肝臓で代謝された後のビリルビンです。
直接ビリルビンは、胆汁として排出されます。
絶食すると胆汁が腸内に排泄されず血中に増加しますが、逆に食事をすると血中の直接ビリルビンが低下します。
総ビリルビン=直接ビリルビン+間接ビリルビンなので食前に採血します。

 

総コレステロール:総コレステロールは、食事の影響はあまり受けませんがTG(中性脂肪)の値に影響します。
そして、肝臓におけるコレステロールの合成と胃化によって値が変動するため食前に採血を行います。

 

HDLコレステロール:HDLコレステロールは、不飽和脂肪酸や糖質の多い食事で低下します。
そのため、食前に採血を行います。

 

LDLコレステロール:LDLコレステロールは、基本的に総コレステロールと連動して値が変動します。
そのため、食前に採血を行う方が望ましいとされます。

 

TG(中性脂肪):中性脂肪は、小腸で作られる蛋白を含んでいます。
そのため、食後6時間は値が高くなるため、食前に採血を行います。

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