輸血
輸血を行う時、溶血の原因となるので、通常の輸血の際は血液製剤を加温する必要はありません。
ですが、冷蔵庫から出してすぐに使用してはいけません。
冷蔵庫から取り出してすぐの赤血球製剤は、5℃くらいの温度です。
適温に戻してから使用しなければなりません。
また、子供に輸血する場合や、急速に大量を投与するときには加温を必要とします。
輸血時に加温する目的
輸血時に加温する目的は、「低体温を予防するため」です。
ひとくちに血液製剤と言っても様々な種類があります。
以前は、RCC(照射赤血球濃厚液)などの赤血球製剤の輸血時には、加温器を使用していました。
最近は、通常の輸血であれば加温は必要ないとされています。
ですが、血管内に急に冷たい点滴や血液製剤を大量に投与することによって、
血管平滑筋が収縮し、自律神経が刺激され、
不整脈や血液の低下、代謝の低下などからだへの悪影響が考えられます。
最悪の場合、心停止を引き起こす事もあるので、
「加温が必要ない」と言われる場合であっても注意すべきです。
加温が必要な場合
通常の輸血であれば加温は必要がないとされていますが、
以下の場合は、加温が必要です。
・急速に輸血する場合(100ml/分を超える場合)
・30分以上にわたって50ml/分を超える成人の場合の急速輸血
・心肺バイパス手術の際の、復温期に対して行う輸血
・新生児に対して行う交換輸血
・15ml/kg/時を超える小児への輸血
・重症寒冷事故免疫性溶血性貧血患者に対して行う輸血
加温を過剰にするとどうなるか
加温が必要な場合も、その加温の仕方には注意を払うべきです。
赤血球製剤は、通常2〜6度℃くらいの温度で保存されています。
ですから、冷蔵庫から取り出したばかりの製剤をそのまま患者さんに投与すれば
低体温の原因となり、危険です。
特に体の小さな小児や、大量に急速輸血する場合は、低体温を引き起こさないように注意を払うべきです。
以前、わが国で過剰に加温による事故が起きました。
加温器が故障しており、過剰に加温された赤血球製剤が患者に投与されたのです。
米国でも、加温が原因の死亡事故も報告されていることから、加温について注意してください。
血液成分は42度を超えると蛋白変性し、血球成分が破壊され溶血(赤血球の膜が破れて中のヘモグロビンが流出する)を起こします。
破壊された血液を患者さんの体内に入れることは大変危険なため、過度な加温は避けなければなりません。
血液製剤投与時の適切な温度
冷蔵庫から取り出したばかりの血液製剤を投与することは、低体温を招くので危険であり、
逆に加温しすぎた血液製剤を投与する事も溶血の恐れがあるため危険です。
そのため、赤血球製剤投与の際の加温による考慮がされています。
そして、血液製剤の投与時の適温は、30〜37℃程度とされ、原則として37℃を超えないこととしています。
つまり、30〜37℃程度の温度で患者さんに投与ができるのであれば加温は不要です。
通常の場合、患者さんに輸血される直前のルート部位で体温程度となるので加温の必要がないと言われているのです。
輸血投与量の計算
MAP加濃厚赤血球の計算式
投与Hb量(g)÷循環血液量(dL)=予測上昇Hb量(g/dL)
400ml由来MAP1バッグのHb量=56〜60g
循環血液量(dL)=0.7×体重(kg)
新鮮凍結血漿(FFP)
凝固因子活性値が正常の20〜30%で、止血効果が期待できます。
必要な新鮮凍結血漿量は、8〜12mL/kg投与(循環血漿量(40ml/kg)の20〜30%であることから)。
患者さんのHt値(%)が分っている場合の循環血漿量は、(70mL×(1-Ht/100))kgとします。
濃厚血小板(PC)
<必要投与量>
(輸血血小板総数÷循環血液量(ml)×10の3乗))×2/3=予測血小板増加数(/uL)
循環血液量は体重の1/13とします。
輸血sれた血小板は、脾臓に細くされるので2/3とします。
<有効性の評価>
血小板増加数(uL)×(体表面積(m2)÷輸血血小板総数)×10の11乗=CCI(uL)
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